焼津市立総合病院

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医療関係の皆さまへ

地域医療連携室だより

地域医療連携室だより 2018年10月号 VOL.25

慢性腎臓病の血圧管理について          総合診療内科(腎臓内科外来併任) 池谷 直樹

 70代前半の女性の腎硬化症のかたです。血圧は家庭血圧で110-130/70-90程度でコントロールされ、血清クレアチニンは1.5-2mg/dLの間で落ち着いていました。夫の介護のために、数日食事がとれないなか、降圧剤はしっかりと内服されて、定期外来を受診されました。
 図のようにクレアチニンの急激な上昇を認めました。血圧の低下は家庭血圧では収縮期圧100以下には低下していませんでした。受診時には体重減少も認めませんでしたが、病歴から脱水と軽度の低血圧の関与を考えてACE阻害薬を一時中止としました。その後、外来ではクレアチニンは元に戻り、再び少量からACE阻害薬を再開しています。みなさま、このような事例はよく御経験されていると思います。

血清クレアチニン値の変動グラフ

 従来、腎疾患患者の血圧管理に関してはThe lower, the betterという流れになっていましたが、近年血圧管理の至適値が見直されています。
 2007年に「正常血圧性虚血性腎障害」という概念が報告されています(N Engl J Med 2007;357:797-805.)。これは、通常では腎臓の血流はオートレギュレーションが備わっており、収縮期圧80mmHg程度までの低血圧にもGFRが保たれる機能を腎臓は有しています。つまり正常腎臓では血圧が低下しても、輸出細動脈がアンギオテンシンUにより収縮するという反応をおこし、糸球体濾過値GFRは保たれます。しかし、動脈硬化の進行した場合や、輸入細動脈に対して収縮作用を有する NSAIDSの使用下(PG合成阻害)、もしくはACE阻害剤やARBのような輸出細動脈を拡張させる作用が強いタイプの降圧剤を投与している場合には、自動調節能は変化もしくは破綻します。収縮期血圧が100から115mmHgに低下した状況で血清クレアチニン値が上昇している場合には、この正常血圧性虚血性急性腎障害が生じていると考えられます。補液や、血圧を再評価して、降圧剤の減量または中止が必要となります。

血圧測定
 日本腎臓学会のCKDガイドライン2018では、蛋白尿の出ている症例では、第一選択としてACE阻害薬、ARBが推奨され、CKDの蛋白尿減少や進行予防に有効とされています。私も尿たんぱく、GFRを確認して、ACE阻害薬やARBを投与しています。しかし、例えば、下痢をして体重減少した時、風邪をひいて食欲低下した時などに降圧剤を内服すると、予想以上に血圧の低下することや、あまり血圧が下がらなくても腎機能が悪化していることがあります。これにはたまたま外来受診時にその時があたって見つける時もあれば、実は自然に治っていて外来の検査では検出できなかった場合もあります。これまでAKIは一過性とみなされていましたが、実はCKDの原因、悪化因子とも言われております。CKDの経過で急性増悪を繰り返すことは腎機能低下を加速することにつながります。夏に腎機能が悪化しやすいことも報告されていますが、これも夏には血圧が下がりすぎて、腎臓の低灌流を生じることが一因と考えられています(Clin Exp Nephrol (2013) 17:1-2)。
 降圧剤、特にACE阻害薬やARBなど投与する時には、体重減少したとき、食欲が低下した時などは一時的にやめてくださいと注意しておくことが必要です。

 以上、CKDにおける血圧の管理についてご紹介いたしました。急速に腎機能が悪化した場合には上記を想定して、血圧、体重を見直して、腎臓内科にご紹介いただければ幸いです。今後とも宜しくお願い申し上げます。



健康管理センターからのお知らせ                健康管理センター長  野木村 宏

ー 健診結果のフォロー状況のご報告 ー

【「紹介状」と「返書」について】
 日ごろより当院の健診業務にご理解、ご協力いただきありがとうございます。当院では人間ドック、船員ドック、協会けんぽ生活習慣病予防健診、事業所健診、市の検診(胃がん検診、肺がん検診、特定健診等を除く)、個人健診等を行っています。そのうち人間ドック、船員ドック、生活習慣病予防健診(以下、「人間ドック等」といいます)で「要受診」「要精密検査」と判定された健診者には、紹介状をお渡ししています。
 また、紹介状には受診された医療機関から当院にお送りいただく「返書」を同封しています。今回はその「返書」をもとに、健診を受けた方のフォロー状況を報告いたします。

【フォロー状況】
 平成29年度に当院の人間ドック等を受けた方のうち、598人の方に711通の紹介状をお渡ししました。7月末までに返書が届いたものは373人(62.4%)、435通(61.2%)でした。専門性の高い精密検査等が必要な方は院内各診療科に、その他の方はかかりつけ医宛や一般診療科名で紹介状を作成し、受診勧奨しています。
 当院以外からの返書に記載された病名を多いものから順番に挙げると、脂質異常症、糖尿病・耐糖能異常、高血圧、脂肪肝、胃炎、大腸ポリープ、高尿酸血症などとなっています。いわゆる生活習慣病といわれるものが多くあり、継続的に地域の医療機関に受診していただいている方も多いと思われます。

表 院外医療機関からの返書に多い病名(上位5つ)
病 名 件数
 脂質異常症 31
 糖尿病・耐糖能異常 26
 高血圧 18
 脂肪肝 15
 胃炎 13
【おわりに】
 いただいた返書からは悪性疾患や指定難病などの診断につながっているケースも見られ、健診および精密検査の重要性が再認識されました。皆様におかれましては「要受診」「要精密検査」と判定された健診者の受け入れと、受診状況把握のための返書のご送付に、引き続きご協力いただきますようお願い申し上げます。
診察イラスト


医師異動のお知らせ

 日ごろからご支援、ご指導いただきありがとうございます。医師の異動がありましたのでお知らせいたします。

■9月1日 新任医師

産婦人科  安藤 有里子

■9月30日 退職医師
整形外科  吉田 厚志
整形外科  古川 由梨
整形外科  寺尾 紫翔
産婦人科  石沢 千尋
小児科   石橋 誠二郎

■10月1日 新任医師

整形外科  内田 正樹
整形外科  橘  亮太
産婦人科  辻本 直哉
小児科   川野邊 宥
小児科   近井 隼人


 もみじ


研修会開催のお知らせ

「口腔ケアの基礎知識(実践編パート3)」
   講師:川野歯科道原診療所 歯科医師 川野 大先生  
      鰹会  歯科衛生士
   日時:平成30年11月8日(木) 午後7時〜8時30分(受付6時30分〜)
   会場:焼津市立総合病院 C棟3階 講義室          
    ※参加には申込みが必要です

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 第4回 認知症ケア学習会
  「認知症に関わる対応困難事例 Part2」
 
   発表者:認知症ケア委員会 看護師
   日時:平成30年11月30日(金) 午後5時30分〜6時30分
   会場:焼津市立総合病院 C棟3階 講義室
    ※参加には申込みが必要です
〔問い合わせ〕
地域医療連携室
TEL 054-623-3111(代表)


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