焼津市立総合病院

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医療関係の皆さまへ

地域医療連携室だより

地域医療連携室だより 2015年2月号 VOL.6

一般外科の紹介        一般外科長 石原 行雄

 外科全体としては、後期研修医4名、スタッフ8名、計12名の人員が勤務しております。
 時代の流れに従って、乳腺外科、胸部外科、消化器外科と専門に分かれてきているのですが、内部としては、それぞれに垣根があるわけではありません。各自の能力?に応じて、できる仕事を受け持っております。特に境界領域、例えば横隔膜に掛る腹部腫瘍などでは、胸部外科と消化器外科が合同で最良の治療ができるよう協力しあっております。一般外科が独自に活動している訳ではなく、実際には消化器外科領域を含めた腹部疾患を主に扱っております。

 今回は、緊急手術が必要となり得る急性腹症の当科での事情を紹介させていただきます。当科で緊急手術を要した急性腹症の原因は頻度順に、@虫垂炎、A消化管穿孔、B腸閉塞(ヘルニア嵌頓を含む)、その他、腸管虚血、腹部外傷などです。

@虫垂炎は、所見により抗生物質と手術の組み合わせでの治療となります。穿孔性虫垂炎により汎発性腹膜炎をきたしている場合は、開腹ドレナージが必要です。特に小児から若年者では、穿孔性虫垂炎から汎発性腹膜炎になり易く注意が必要です。発熱、右下腹部痛、筋性防御などの症状があれば、連絡いただければと思います。

A消化管穿孔は、胃・十二指腸潰瘍や胃癌の穿孔による上部消化管穿孔と大腸憩室炎や大腸癌などによる下部消化管穿孔に分かれます。
 特に下部消化管穿孔による汎発性腹膜炎は、急性腹症の中でも最重症で、敗血症からDIC(播種性血管内凝固症候群)を経て多臓器不全をきたします。直近のデータでも死亡率は2割程度に達します。
 腹部の圧痛や筋性防御(板状硬)も重要ですが、バイタルサインが参考になります。急性循環不全(ショック)に陥る前に、全身性炎症反応症候群(SIRS)所見が見られます。SIRSでは、以下の所見2項目以上が該当します。体温の変動(36℃未満または38℃より上)、脈拍の増加(90回/分より上)、呼吸回数の増加(20回/分より上)、白血球数の変動(12000/μlより上または4000/μl未満)。敗血症は、感染+SIRSとされているので、SIRSが疑われる場合は注意が必要です。
 検査所見では、乳酸値の上昇、アシドーシス、凝固異常や血小板減少などがあれば、すでに重症です。

B腸閉塞は、保存的治療が可能な単純性腸閉塞と血流障害を伴い緊急手術を要する絞扼性腸閉塞に分かれます。頻度は、単純性腸閉塞と絞扼性腸閉塞で恐らく10:1程度ではないかと思います。腸閉塞全体の中で、ひと握りの緊急手術を要する絞扼性腸閉塞をいかに早く診断して手術の判断をするかが重要です。例えば、手術歴がないのに腸閉塞の人は要注意です。内ヘルニアなどによる絞扼性腸閉塞の可能性があります。腹痛は強く持続的で、鎮痙薬や鎮痛薬が効きにくいのも特徴です。また、Aと同様にSIRS所見は絞扼を示唆します。発症から6-12時間程度以内で手術に持ち込めると腸閉塞解除のみで治療できる場合があります。

 いずれにしても、急性腹症の診断は、

 臨床症状, 所見 + SIRS所見 + CT画像

 での判断となります。特に画期的な新しい検査や手術の技術革新がある訳ではないのですが、ひたすら泥臭いアプローチで時間を追って診てゆくことが必要だと思っております。実際には、上記の診断に迷うことも多々あり、思っていたのと違うことも稀ではありません。それでも昔よりは、少しずつ診断能も上がってきているように思います。これからも、ご指導の程宜しくお願い致します。

■診療内容
 平成25年度の入院患者数は721名で、手術件数は291件でした。くも膜下出血で発症した破裂脳動脈瘤と慢性硬膜下血腫の手術件数は、県内DPC対象病院で最多でした。これは、先生方からの適切なご紹介の賜物と感謝申し上げます。さらに安全で、安心できる医療を提供するために、今年度手術顕微鏡を更新しました。手術中インドシアニングリーンで脳血流検査が、また脳腫瘍(神経膠腫)手術時に蛍光造影剤で残存腫瘍観察が可能になりました。
 脳神経外科の主たる病棟は、6階B病棟の42床です。現在、焼津市内からはもちろんのこと、藤枝地区、榛原地区からの紹介患者も受け入れております。この病床数で入院患者数を管理するために、入院患者の調整が必要となっています。すなわち急性期治療の終了した患者については、回復期リハビリテーション病院への転院、療養型施設への退院、介護施設への退院、自宅退院等を、早期に調整しております。入院患者のこのような背景をご理解いただきたくお願い申し上げます。

■治療対象疾病
 さて、当科での診療の対象となる疾患は、脳卒中(くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞、脳動脈狭窄、脳動脈閉塞、内頸動脈狭窄症、一過性脳虚血発作、椎骨脳底動脈循環不全症、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、もやもや病、脳動脈解離など)、頭部外傷(脳挫傷、び漫性軸索損傷、慢性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、頭蓋底骨折、頭蓋骨骨折、外傷性髄液漏、頸椎骨折・脱臼、頚髄損傷、頸椎捻挫、外傷性頚部症候群など)、脳腫瘍(神経膠腫、膠芽腫、神経鞘腫、髄膜腫、下垂体腫瘍など)、三叉神経痛、顔面けいれん、特発性正常圧水頭症、水頭症、先天奇形、脳膿瘍、硬膜外膿瘍、硬膜下膿瘍、脳脊髄液漏出症(低髄圧症候群、脳脊髄液減少症)など多くあります。

 これらの疾患の中で、比較的身近な以下の疾患について、ご案内します。

■慢性硬膜下血腫
 中高年以降で、軽微な頭部外傷後、1-2ヶ月後に、症状が出てきます。車で飛ばされたような強い外傷ではなく、自宅で転倒し頭部を打撲した、鴨居に頭をぶつけた等の軽微な外傷後に起こります。発生頻度は、約5%と思われます。症状は、頭痛、歩行障害、片麻痺、認知症等です。多くは緩徐に進行しますが、時に急速に進行します。ご紹介いただき診断がつくと、問題がなければ即日手術(局所麻酔、穿頭洗浄ドレナージ術)を施行します。通常は2泊3日の入院で、外来抜糸としています。再発が1割程度あります。

 慢性硬膜下血腫

術前

 

術後


■特発性正常圧水頭症
 治療可能な認知症と言われています。多くの水頭症は、脳出血、頭部外傷、感染等の原因があり、水頭症をきたします。そのような原因がないのに、水頭症の3症候(歩行障害、失禁、認知症)を示します。認知症の原因として頻度は少ないのですが、治療可能なために、見逃さないように言われています。以前は、画像のみで診断し、過剰に診断してしまい、脳萎縮の患者にも水頭症手術を施行し、問題が指摘されました。現在は、腰椎穿刺で髄液を排除し、症状の改善がある場合(タップ試験陽性)のみ手術(脳室腹腔シャント術)を施行しています。

 特発性正常圧水頭症

術前



術後

 

■一過性脳虚血発作
 麻痺、言語障害等の症状が一時的にでるのですが、まもなく消失してしまうものです。診察時には無症状で、病歴でしかわかりません。ただ、症候はTIAでも画像上、脳梗塞をきたしている場合があります。また、20%の患者は、3ヶ月以内に脳梗塞をきたし、その内半数は、48時間以内に発症します。早期に治療介入をすることで、脳梗塞再発予防効果があることがはっきりしています。脳卒中を思わせる症状があったが、今はなんともなくても、TIAという診断で是非、緊急でご紹介ください。ご紹介いただきますと、緊急CT、MRI検査、心電図、心臓エコー検査等を行い、ラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、脳塞栓症の鑑別を行い、適切な抗血栓療法を開始します。当院の神経内科、脳神経外科いずれの科でも基本的に同日入院し、精査、治療開始します。

 地域の要請に応えられるような診療を目指していますが、まだ足りない面も多くあります。今後も、先生方に、ご指導、ご鞭撻いただき、さらに一歩前に進めていけたらと思います。
 今後ともよろしくお願い申し上げます。


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