焼津市立総合病院

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医療関係の皆さまへ

地域医療連携室だより

地域医療連携室だより 2017年1月号 VOL.16

消化器外科の診療について           消化器外科長  高林 直記

 当院の外科は、一つの科として消化器・一般外科、呼吸器外科、乳腺外科、血管外科の診療を行っております。外科全体で常勤スタッフは7名在籍し、そのうち消化器外科専門医は2名、指導医が1名です。
 現在当科には後期研修医が4名在籍し、外科専門医を目指し研修に励んでおります。再来年度(2018年度)から新専門医制度が開始される予定です。現行制度と異なり新制度では、当院は東大や浜松医大などの基幹施設の連携施設となり、基幹施設の研修プログラムに従って専攻医(後期研修医)を受け入れることとなります。これまでは当院が研修指定施設として独自に後期研修医を受け入れることが可能でしたが、新制度の下ではできなくなる見通しです。今の後期研修医のうち医局人事で派遣されている者が2名、当院での初期研修後に移行した者1名、当科を希望して赴任した者が1名です。独自に採用できないとなると、後期研修医数が減ってしまう恐れがあります。診療の多くに後期研修医がかかわり、手術、病棟業務、救急診療と八面六臂の活躍をしていて当科になくてはならない存在です。地域医療に影響が出ないような制度になることを切に願っております。

 さて、昨今は免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブが、その効果もさることながら、高額な薬価についても話題になりました。今のところ保険診療では一般の消化器癌には使用できませんが、これを機に(やや強引な展開ではありますが…)現在消化器外科で行っている抗癌剤治療につきご紹介したいと思います。
 大腸癌、胃癌の進行癌では根治切除後にStageに応じて補助化学療法を施行しています。大腸癌ではStage3と、Stage2で閉塞例や穿孔例などのhigh risk症例では術後半年間、UFT-Uzel療法(内服)やFOLFOX(folinic acid, 5Fu, oxaliplatinの併用)、XELOX(capecitabin, oxaliplatinの併用)を行っています。胃癌ではStage2,3の症例でTS-1単独の内服を1年間や、XELOX療法6カ月間が適応となっています。

 大腸癌で再発・切除不能症例に対してはFOLFOX、XELOX、FOLFIRI(folinic acid, 5Fu, irinotecanの併用)療法を行います。これに症例に応じて分子標的薬としてbevacizumab、cetuximab、panitumumabを併用します。これらが不応になった場合にはregorafenib、trifluridine/tipiracil hyrochlorideなどの内服薬を投与します。他にTS-1なども保険適応があります。
 胃癌の再発・切除不能症例ではpaclitaxel、docetaxel、irinotecan、cisplatin、oxaliplatinなどをTS-1と併用したりします。また分子標的薬としてtrastuzumab、ramucirumabなどを併用します。
 胆道癌、膵癌ではgemcitabin単独療法、gemcitbin, cisplatin併用療法、TS-1単独療法などを行います。
 GISTの再発例、切除不能例ではimatinibの内服を行います。それが無効となった場合sunitinibやregorafenibの内服を考慮します。
 これらの多岐にわたる抗癌剤治療を安全に行うには、外科医だけで管理するのは不可能です。当院では注射薬を含むレジメンは申請をして電子カルテに登録しないと施行できない運用になっています。消化器外科だけでも約50のレジメンを登録しています。そうして登録しておけば、例えば3週間毎投与を毎週投与してしまうような過量投与事故の防止に役立ちます。さらに投与量が適正かどうか等の薬剤師のdouble checkや、抗癌剤投与中の管理については病棟や外来化学療法室の看護師のcheckが入ります。
 また白血球減少、嘔気・嘔吐、手足症候群、末梢神経障害等の副作用に対しても薬剤師や看護師の協力のもと適切な予防や対処に努めております。
 以前は消化器癌に効果のある抗癌剤は少なく、手術の片手間にやっていた抗癌剤治療も今や重要な治療戦略の一つとなってきています。

 

 脳卒中の次に多いのは痙攣発作です。その他、脳炎、Guillain-Barre、脊髄卒中、重症筋無力症、多発性硬化症など、多様な疾患の患者さんが見えます。志太榛原地域の神経内科が比較的手薄な事情もあって貴重な症例も多く、積極的に治療を行い、学会発表もしています。
 麻痺脱力症状、しびれ、ふるえ症状、意識の障害、認知症などありましたら、当方に御相談下さい。

 また、脳神経の分野とは別に、内科系チームの一角としても役割を果たしていて、内科救急診療にも当たっています。決して人員が充分とは言えない当院の内科全体が、お互い助け合っています。この1年で、約150名の感染症や脱水症と言った一般内科疾患の入院患者さんの診療に当たりました。

 さて、脳梗塞についてですが、近年の国内での話題としては、2011年のダビガトラン発売とその後の新規抗凝固薬の台頭。2015年の脳卒中ガイドラインの改訂。2016年の神経内科総会でもトピックとして紹介された潜因性脳卒中が上げられるかと思います。
 ダビガトランを始めとする新規抗凝固薬New Oral Anti-Coagulant;NOACについて、2015年の国際血栓止血学会で、「今後はDirect Oral Anti-Coagulant;DOACとしよう」とされました。ここでもDOACと書かせて頂きます。
 「DOACがワルファリンと比べて、塞栓予防効果で同等か優位、出血リスクは低い」という結果は、2014年のLancetに掲載された海外でのメタ解析でも、2016年の日本循環器学会で発表された他施設前向き試験(J-RHYTHMレジストリー2)でも確かめられました。現行の心房細動ガイドラインでも、同等の適応がある場合はワルファリンよりDOACが望ましいとされました。

 2011年から始まった京都伏見地区の心房細動患者登録研究では、調査開始後4年間で、(ガイドラインでは推奨していない)抗血小板剤の処方が減少し、残る抗凝固療法はワルファリンとDOACの比が半々になっています。
 全体的にunder dozeに偏りがちな低用量処方の問題、下部消化管出血リスクの優劣に含みが残っていることなど、課題はありますが、心房細動診療の中心がDOACになっていく傾向は続きそうです。
地域医療連携室だより2017年1月
 抗凝固治療の適応を今後増やす可能性があるのが、2016年の神経内科学会総会で紹介された潜因性脳卒中Embolic Stroke of Undermined Source;ESUSの概念です。画像上、ラクナ梗塞では無く、頸動脈、心臓内に狭窄や血栓を認めず、不整脈も見つからない、原因のはっきりしない脳梗塞です。多く見積もって脳梗塞の1/4が当たる。と報告されています。
 実際、当科でも「潜因性」は少なからず経験され、悩みの種となっています。「ESUSの主な原因は潜因性発作性心房細動で、治療として抗凝固療法が望ましいのではないか」とする発表が脳梗塞予防の議論に一石を投じました。現在、臨床治験が始まっているようです。

 最後に、脳卒中治療ガイドライン2015の改訂ポイントについて、御紹介させて頂きます。
 ポイントは4点です。
#1;75才以上の後期高齢者の降圧目標が、150/90mmHg未満に緩和されました。
#2;心房細動の治療推奨薬が追加、DOACの使用が推奨されています。
#3;嚥下障害、言語障害に対するリハビリテーションについて、嚥下障害に対する検査や状態に合わせた食形態の検討など多職種で連携して包括的な介入を行うことが高いレベルで推奨されています。また、言語障害に対してもリハビリの必要性が強く推奨されています。
#4;rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法ですが、これまでは脳梗塞発症から3時間以内のみ使用可能とされていましたが、これが4.5時間以内と延長されました。もちろん、より早い治療が必要であることは変わりありません。

 以上、簡単に脳梗塞の近年の話題について、紹介させて頂きました。
 日々勉強しつつ、地域診療に貢献できるよう、尽力していく所存です。今後ともよろしくお願い致します。


病院からのお知らせ

研修会開催のお知らせ    
 
焼津市立総合病院では、地域の医療関係者の皆様にも参加いただける研修会を開催しております。 
 ◆第100 回 臨床病理検討会(CPC)
 日時  平成29年2月13日(月) 午後6時30分から
 場所  焼津市立総合病院 C棟3階 講義室

 地域医療連携室だより2017年1月
 ◆第13回 焼津内科症例検討会
 日時  平成29年2月22日(水) 午後6時30分から
 場所  焼津市立総合病院 C棟3階 講義室

 ◆平成28年度接遇講演会
 日時  平成29年3月2日(木) 午後6時から
 場所  焼津市立総合病院 C棟3階 講義室

医師異動のお知らせ    
日ごろからご支援、ご指導いただきありがとうございます。
医師の異動がありましたのでお知らせいたします。
 12月31日退職医師  1月15日退職医師  1月16日赴任医師
 整形外科   朴 英  産婦人科  山口広平  産婦人科 稲葉 慶
 産婦人科   柳澤愛実  1月31日退職医師
 歯科口腔外科 松下善彦  総合診療内科 荻野修平

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