焼津市立総合病院

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医療関係の皆さまへ

地域医療連携室だより

地域医療連携室だより 2017年3月号 VOL.17

脳神経外科の紹介           脳神経外科長  竹原 誠也

■最近のトピックス
脳血栓回収療法
 脳梗塞に対して、2007年、血栓溶解療法(tPA療法)が導入されました。それまでの治療法では、治療後に障害の無い状態の割合が26%でしたが、tPA療法では39%に改善しました。ただ発症4.5時間以内の症例に限られ、実際tPA投与は、脳梗塞全体の約10%でした。また投与しても6割の患者は、死亡あるいは後遺障害を残すことになり、さらなる発展が求められていました。その中で血管内から血栓を機械的にとる方法が試みられました。2013年までは、良い結果が出ませんでした。しかし、血栓回収器具が改良され、再開通率80%、3ヶ月後障害の無い状態60%になりました。これはエビデンスレベルの高いもので、欧米では、対象患者に、この治療をしなくてはならないということになりました。
 我が国でも、2015年より、脳血栓回収療法が行われるようになりました。術者が、脳血管内治療専門医である必要があり、当院では、すぐに導入できませんでした。幸い、本年2月より、浜松医科大学脳神経外科の協力を得て、当院でこの脳血栓回収療法ができる体制になりました。実際に、対象となる患者は、多くはないと予想されていますが、対象患者に対しては、速やかな対応を考えています。

        血栓回収療法


抗凝固療法中の脳出血
 最近は、非弁膜症性心房細動による脳梗塞の再発予防、あるいは一次予防でも、抗凝固療法が行われることが多くなりました。実際には、ワーファリンを内服している方が多いのですが、脳出血が起こる場合があります。また、そのような方が怪我をして、外傷性頭蓋内出血をきたすこともあります。脳出血が止血されず増大している場合、あるいは緊急手術を要する場合には、ワーファリンの作用を急いで抑える必要があります。我々は、新鮮凍結血漿(FFP)を用いて、ワーファリンの作用を抑えるようにしています。通常、ケイツー1-2Aと、8-12単位のFFP投与でワーファリン効果が抑えられ、手術等が可能になります。ただ、FFPでは容量負荷が大きくなります。当院では、FFPを4℃でゆっくり約20時間かけて融解し、遠心分離し凝固因子を濃縮したクリオプレシピテートを作っています。クリオプレシピテートは容量が少なく、溶解も早いため、急速投与がしやすくなっています。
 最近は、非弁膜症性心房細動の患者に、新規抗凝固薬が使われることもあります。これらの中でダビガドラン(抗トロンビン薬)に対しては、中和薬イダルシズマブが投与可能となりました。Xa因子阻害薬(リバーロキサバン、アピキサバン)の拮抗薬(アンデキサネット)は、現在臨床試験中です。新規抗凝固薬には、出血合併症は多くないとされていますが、当院では緊急の症例に対して、対応できるように準備しております。


■その他当科で行われている手術

血栓内膜剥離術
 動脈硬化の進行により、頚部内頸動脈狭窄をきたす方が以前より多くなってきました。糖尿病、脂質異常症の方が増えていることが関連していると見込まれます。この検査としては、頸動脈エコーがあり、全身の動脈硬化の指標として行われることも多くあります。従いまして、健診センターからも、頚動脈狭窄症例をご紹介いただくことがあります。
 頸動脈狭窄が進行し、高度(70%以上)で、症候性のものは、「2015脳卒中治療ガイドライン」では、頸動脈内膜剥離術が、強く勧められています。無症候性の頸動脈狭窄の高度狭窄についても、内膜剥離術が勧められています。内膜剥離術の危険因子を持つ患者への頸動脈ステント留置術も勧められています。
 当科では、これら頸動脈狭窄に対して、頸動脈内膜剥離術を主に行っています。症候を改善する目的ではなく、今後の脳梗塞予防のため手術です。従って手術合併症を極力低くすることが重要です。術前の適切な検査(頭部CT、頭部MRI、頸動脈エコー、脳血管撮影、脳血流シンチグラフィー)を行い、また心筋梗塞、狭心症の合併が多いため、心臓の評価も必ず行います。術中は、脳波モニターを行い、脳血流を保つためシャントシステムを用いるなど、できるだけ安全な手術を心がけています。

   頸動脈狭窄 術前後の頚部CT angiography
頸動脈狭窄 術前
頸動脈狭窄 術前
内膜剥離術後
   内膜剥離術後


<対象疾患について>
1. 胸部陰影が気になったら
 単純写真などで気になるところがあれば、お気軽に御連絡ください。
 CT検査にて方針決定の後、肺癌などが疑わしい場合には、気管支鏡検査(当科にて毎週金曜日)やPET検査予約(他院)の手配をします。PET検査に相当するDWIBSというMRI検査は当院にて可能です。約10日後には治療方針を決定します。

2. 肺癌診療について
 肺癌診療ガイドラインに基づいて、手術適応の判断をします。
 診断時に手術適応でなくても、気管支鏡、胸腔鏡、針生検などによる組織検体(腫瘍)から、ある遺伝子(EGFR遺伝子やALK遺伝子)の変異が判明すれば、分子標的薬(イレッサ、タルセバ、ジオトリフ)などの適応となります。分子標的薬治療中に効果が薄れた場合、耐性遺伝子(T790M)の出現の有無を、血液検査(リキッドバイオプシー)にて調べて、耐性遺伝子が判明した場合には、次の分子標的薬(タグリッソ)への変更を検討します。
 扁平上皮癌や分子標的薬が無効の腺癌の場合には、免疫チェックポイント阻害薬(オプジーボ)の適応です。現在、数名の方に外来にて治療させていただいていますが、院内各部署の協力を得て、昨年から軌道に乗っています。さらに現在は、PD-L1蛋白陽性例に対する免疫チェックポイント阻害薬(キートルーダ)の使用体制について調整中です。

 分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬が、臨床現場に大きな変化をもたらしており、従来から厳しい問題であった進行再発肺癌にも希望の光が照らされています。

3. 感染性疾患
 肺炎などに対する気管支鏡検査の相談が増加しています。
 急性膿胸など胸水に対する胸腔ドレナージや、必要であれば非気管挿管下(局所麻酔下)の胸腔鏡下膿胸腔掻爬を可及的迅速に施行しています。
 この手技は、低侵襲ながら状態改善、QOL改善につながることが多いのですが、不幸にして慢性化してしまった場合には、小さく開窓して低圧持続吸引(NPWT : Negative Puressure Wound Therapy, VAC療法, 褥瘡に行われる治療に準じた治療法)の適応を検討し、早期回復を目指します。

4. 外傷
 高エネルギー外傷などの呼吸不全への対処、治療を担当しています。
 今後はリハビリ部門との連携を深めて、できるだけ早期の退院、社会復帰を目指すことができるように努めたいと思います。
 内科外科の垣根を越えて、できることを模索しつつ、スタッフの力を借りながら、地域医療に日々貢献していけたら幸いです。
○胸部外科手術数
 平成25年度 67例 (肺47 縦隔 6 その他 14) (うち悪性 24)
 平成26年度 72例 (肺50 縦隔 8 その他 14) (うち悪性 22)
 平成27年度 78例 (肺49 縦隔 3 その他 26) (うち悪性 30)


病院からのお知らせ

医師異動のお知らせ    
日ごろからご支援、ご指導いただきありがとうございます。
医師の異動がありましたのでお知らせいたします。
平成29年2月28日退職医師
 皮膚科 吉成 康
平成29年3月31日退職医師  
 総合診療内科 可児 邦弘  外科 宮戸 秀世  脳神経外科 鈴木 亮一
 総合診療内科 三浦 雅臣  外科 早坂 誠  泌尿器科 小倉 悠司
 腎臓内科 篠ア 真吾  整形外科 村上 亮  産婦人科 鈴木 研資
 小児科 木本 豪  形成外科 上野 紫穂  眼科   飯田秀輝
 小児科 廣畑 晃司  形成外科 高梨 遼  歯科口腔外科 尾田 誠一郎
 小児科 須川 正啓  形成外科 木村 武一郎  歯科口腔外科 松川 祥
平成29年4月1日赴任医師  
 神経内科 篠原 慶  整形外科 寺尾 紫翔  産婦人科 上田 美里
 腎臓内科 須藤 佳樹  形成外科 桑田 知幸  産婦人科 加藤 浩介
 小児科 大島 拓也  形成外科 桑田 久美子  眼科 磯貝 正智
 小児科 高見澤 幸一  形成外科 藤田 純美  歯科口腔外科 佐藤 哲
 小児科 久世 崇史  脳神経外科 川勝 暢  歯科口腔外科 武元 徹
 外科 飯田 祐基  皮膚科 池田 悠  病理診断科 西田 秀
 整形外科 佐藤 聖也  泌尿器科 森 洋一   
 整形外科 古川 由梨  産婦人科 賀来 哲明   

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