検査の原理 |
201TlはK(カリウム)と類似の生体内挙動を示し、Na-Kポンプにより初回の冠動脈循環で約80%が心筋細胞内に取り込まれ、その分布は局所の心筋血流を表します。負荷試験を行うことで心筋虚血の有無、病変部の心筋が梗塞(壊死)または虚血(心筋生存)の鑑別診断に有効です。 |
心筋シンチとは |
心臓に栄養を送る主な血管(冠動脈)には、右冠動脈(RCA)、左前下行枝(LAD)、回旋枝(LCX)と3本走っています。この血管の走行を見るのに、冠動脈CTや心臓カテーテル検査を行います。これらの3本の血管が詰まっていたり、詰まりかけているとそれより先の心筋細胞に流れ込む血液の量が減少するため、血液が十分に届かなくなり、それによって不整脈・狭心症・心筋梗塞さらには心筋の細胞が死んでしまうことがあります。心筋シンチは血管の走行を見る冠動脈CTや心臓カテーテル検査とは異なり、細胞へのエネルギー(栄養)を反映した心筋細胞の状態を見る検査です。
心筋シンチ画像は梗塞部位やその範囲の診断に有効で異常がある場合は集積低下像もしくは欠損像として表されます。そこで、局所的な虚血を再現するためにトレッドミルによる運動負荷や薬物により負荷することで狭窄した部分は局所血流が低下し欠損像となります。負荷をかけてから時間をおくことで血流が回復(再分布)し、正常、梗塞または虚血の鑑別をすることが可能です。
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心筋シンチによる薬剤(201T1)の分布
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安静時 |
負荷時 |
正常 |
集積 |
集積 |
狭心症 |
集積 |
欠損 |
心筋梗塞 |
欠損 |
欠損 |
また、心筋シンチの画像およびブルズアイから集積低下・欠損があった場合に3本の主要な血管のどこに異常があるか、ある程度予想することが可能です。
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ブルズアイ表示による冠動脈支配の決定
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正常像
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正常像(ブルズアイ)
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集積低下像
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ブルズアイ
(RCAの領域に集積が低下)
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心臓カテーテル検査(RCA)
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以上のように心臓カテーテル検査を行う前に冠動脈の状態を予想することが可能であり、異常による心筋細胞への影響も判断することが出来ます。
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