病気や事故などによって身体や精神に障害を持った人に対して、その人が再び、家庭生活・社会生活をスムーズに復帰出来るよう援助を行うリハビリテーションの一つです。作業は、私達が普段の日常生活の中で遂行されている動作にあたります。例えば、食事・服を着る・入浴・トイレで用をたすといった日常生活動作から、更には調理や家事・趣味的な活動・就労支援など多岐にわたり、それら種々の動作を実際にまたは、模擬的に様々な治療媒体を用いて作業療法は行われています。
OT(オーティー)は、occupational therapy(作業療法)、occupational therapist(作業療法士)の略です。社団法人日本作業療法士協会(1985年)では「作業療法とは、身体または障害がある者、またそれが予測される者に対し、その主体的な生活の獲得を図るため、諸活動の回復、維持および開発を促す作業療法を用いて、治療、指導、援助を行うことをいう。」とし、日常活動の諸活動、仕事・遊びなど人間の生活全般に関わる諸活動を作業療法の「作業活動」と呼び、治療や援助もしくは指導の手段としています。
当院では、各科医師から依頼票を受け、主に上肢の機能、また例えば以下の諸活動への働きかけを行います。
- 身体機能面への働きかけ:作業活動を通じて、実際の生活に必要な筋力、関節の動き、感覚機能などの維持・改善をはかると共にスムーズな動きや耐久性の獲得などを行います。
- 高次脳機能面への働きかけ:生活に必要な時間・物の扱い方・周囲の状況の認識、物事の記憶、計算、動作の順序や方法を決定し遂行していく、などの能力を評価し、治療・訓練します。
- 心理面への働きかけ:長期入院や障害により、失われ易い精神活動や生活に対する意欲の維持・改善をはかると共に、不安を和らげたり、自身づけを行ったりします。
- 日常生活活動面への働きかけ:食事、更衣、排泄、などの身辺動作や家事動作について、その動作が出来ない原因を評価し、その人にあった適切なやり方・介助の方法を訓練・指導します。
- 職場復帰への働きかけ:職場復帰や就職に向けて、身体機能、作業能力、一般能力(学習能力、注意力、問題解決能力など)、移動、コミュニケーション能力などを評価し、訓練を行います。
- スプリント療法:手の機能障害の保護や練習など、装具を作製し、治療をします。
1.脳血管疾患・神経疾患に対する作業療法
- 脳血管疾患対象疾患:脳出血、脳梗塞、脳挫傷、クモ膜下出血、硬膜下出血、頭部挫傷
- 神経疾患対象疾患:パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症
■当院での作業療法
上記の様な疾患に対し、安静臥床による二次障害を起こさないよう、医師の指示の元、発症・手術後早期から安静度に応じて作業療法を開始します。
■機能訓練
関節可動域運動や促通訓練・バランス運動を行ったり、様々な道具(お手玉・ペグ・輪投げなど)を用いて機能訓練を行います。 |
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■日常生活動作訓練
対象者の方が送られてきた生活背景(日常生活・社会生活)を考慮し、直接的にまたは模擬的に日常生活動作や生活関連動作、趣味的な活動等へアプローチを行い、家庭や社会へ復帰できるよう援助を行います。また、自助具を利用した訓練を行い自立への支援を行います。
■作業活動
直接的な訓練のほかにも、対象者の状態に合った作業活動を取り入れ、作品を作製しています。
2.整形・形成外科疾患に対する作業療法
対象疾患:骨折・・・鎖骨骨折・上腕骨頚部骨折・上腕骨顆部骨折・肘頭骨折
橈骨遠位端骨折・手根骨骨折・手指骨折 など
腱板損傷・手指切断・熱傷・腱損傷・末梢神経障害 など
■当院での作業療法
当院においては、主として急性期の上肢の整形・形成外科疾患の患者様を対象に行っています。一般的には、医師の指示の元に行います。また発症直後や手術前後にも必要に応じてフォローしていきます。
具体的には、関節拘縮に対する関節可動域訓練、筋力トレーニング、物理療法を行っていきます。
加えて、日常生活において使用できる手を促すため、フォーム練習(にぎりやつまみ動作)を行ったり、実生活を想定して手の使用訓練を行ったりします。
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またスプリント療法を併せて行うことで、対象者をusefulhandとなるよう目指します。 |
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