焼津市立総合病院

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前立腺肥大症の新しい手術法 〜PVPレーザー〜

前立腺肥大症とは
 男性特有の臓器である前立腺は、加齢とともに肥大していきます。前立腺肥大症は中高年の男性に最も多くみられる良性の泌尿器科疾患で、尿の出が悪い、排尿に時間がかかる、残尿感があるといった症状があります。日中でない尿が夜中に排出されるため、発症すると睡眠不足になるなど、生活に悪影響があることが多くあります。
 軽症の場合、まず薬物療法が用いられますが、薬物療法では症状が十分に改善されない場合や重症の場合には、前立腺を切除する手術療法が選択されます

前立腺肥大症の手術
■経尿道的前立腺切除術(TURP
 標準的治療法として国内外で広く行われています。TURPは安全で治療効果も優れていますが、一部の症例では術中あるいは術後に出血やTURP症候群(低ナトリウム血症)といった合併症が問題となることがあります。

■光選択的前立腺蒸散術(PVP)
 今回導入したPVPレーザーは、緑色のレーザーを前立腺に照射することで組織を加熱気化(蒸散)させる手術です。
 PVPレーザーの緑色のレーザーは、酸化ヘモグロビンに強く吸収される一方、水にほとんど吸収されないため、前立腺などの血流の豊富な組織では効率的に蒸散を行うとともに、目に見えない前立腺組織の深部に与える影響が少ないです。
 また、PVPレーザーによって蒸散された前立腺組織の直下では浅い凝固(厚さ1mm〜2mm程度の熱で変性して固まった組織)層ができるため、手術中の出血が非常に少ないこともPVPの利点です。さらに、電流を用いる従来のTURPと違ってレーザーを用いるPVPでは灌流液(経尿道的な内視鏡手術の際に視野を確保するために使用する液体)として生理食塩水を使用できるため、合併症である低ナトリウム血症の心配がありません。
 出血も少なく、効率の良い組織蒸散と凝固が可能であり、前立腺肥大症に対するもっとも安全で有効な低侵襲療法であると考えられています。前立腺肥大症にて、外科的治療法で排尿状態の改善が期待できると考えられる場合に良い適応です。ほかの治療法と比べ、出血が非常に少ない方法であるため、高齢者や脳血管障害、心疾患などの理由で抗凝固治療中の従来の手術を受け難い症例にも、比較的安全に施行できる可能性があります。

PVPレーザー治療画像
PVP手術の方法
 麻酔は全身麻酔もしくは脊椎麻酔で行います。手術は経尿道的に行い、側射型レーザープローブでレーザーを前立腺組織にあて、組織を蒸散させて肥大した部分を消滅させます。
 輸血の心配はほとんどなく、手術時間は前立腺肥大の程度により変わりますが、おおよそ70分〜90分です。
 尿道カテーテルの抜去のタイミングは術後の状態により判断しますが、ほとんどの場合手術翌日には抜去可能で、入院期間はTURPより短くなります。
PVPの長所
  • 合併症がすくない(手術中や術後の出血が少ない。TUR症候群がない。) 。
  • 術後に尿道カテーテルが早く抜ける(術後1日〜2日目)。
  • 尿道カテーテルを抜くと尿の出かたが速やかに回復する。
  • 術後の排尿時の痛みが少ない。
  • 性機能への悪影響が少ない。
  • 入院期間が短く社会復帰が早い。
 PVPによる前立腺肥大症に対する治療は、既に欧米では広く普及をしており、日本国内にて早く導入された病院での治療成績も非常に良好です。PVPはTURPに比べてより安全で、かつTURPとほぼ同等の治療効果が期待できるため、今後は前立腺肥大症に対する標準的な治療法の一つとして定着する可能性があります。


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