腎臓内科

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腎臓内科の病診連携

慢性腎臓病(CKD)の病診連携

対象疾患

尿たんぱく陽性、または、腎機能低下(eGFR 60ml/分未満)の方

病診連携に関する基本的考え方

  • かかりつけ医と、当院の腎臓内科医との併診を原則とします。
  • CKDの患者、特に、①尿蛋白陽性、②eGFR45未満、③尿蛋白と尿潜血反応陽性、のいずれかを満たす患者は、一度は腎臓内科での原因精査、治療方針の検討をさせていただきたく思います。
  • 日常的な管理は、かかりつけ医の先生にお願いしますが、eGFR30ml./分以下で病態の安定しない患者さんやeGFR15ml/分未満の患者さんは、腎臓の専門外来で管理させていただくことが適当かと思います(患者さんの希望があり、かかりつけ医の先生の了解があれば、かかりつけ医での管理をお願いすることもあります)。

病診連携の流れ

  1. 紹介を受けたとき腎臓内科で行うこと

    初診当日もしくは、2回目の受診日の診察と検査により、腎障害の原因の確定(診断)と治療方針の決定を行います。

    【初診日】

    病歴、既往歴、薬歴、の詳細な聴取、身体所見
    血液、尿検査、腹部エコー検査の予約(次回受診日に行います)
    蓄尿の指示、家庭血圧測定指導

    【2回目の受診時】

    主治医が以下を確認します。
    前回の血液・尿検査結果、腹部エコー検査結果
    蓄尿結果、家庭血圧測定結果

  2. 患者さんへの結果説明

    主治医は、以上の結果を総合的に判断し、患者さんに、①診断名、合併症の種類と程度、今後の見通し(予後)、食事指導、生活指導を含む治療法について説明する、②かかりつけ医で治療を継続すること、③かかりつけ医から当院再受診の指示があったときは再受診すること、を説明します。

  3. 逆紹介

    主治医は患者さんに説明した上記の内容を、紹介状に記載し、検査結果のコピーを添付してかかりつけ医に送付します。(当院再受診の際も同様に行います)

逆紹介後の病診連携

  • かかりつけ医での管理を原則とします。従って、初診後2~3回の外来にて、評価と教育ののち、治療方針を決定して、かかりつけ医に逆紹介いたします。日常的な投薬管理はかかりつけ医の皆様に行っていただき、病状により3~12ヶ月に一回の割合で当院の腎臓外来を併診していただきます。(定期的な食事指導も行います)
  • ステロイド内服量が多い時、ネフローゼによる浮腫の管理が困難な症例、CKDステージ4で、血圧や浮腫、食事などの管理が安定しない場合は、患者さんやかかりつけ医との相談の上、当院で管理させていただく場合もあります。
  • ステージ5(eGFR<15)では、食事や薬剤治療を頻繁に見直す必要があること、透析導入の準備(患者教育、シャント作成を含む)などのため、当院腎臓外来での管理が原則となります。

入院治療について

外来での治療を基本としますが、腎生検が必要なとき、慢性糸球体腎炎に対するステロイド治療が必要な時、浮腫、呼吸困難など腎不全症状の集中管理が必要な時、透析療法の導入時、透析患者の合併症に対する治療が必要な時には入院治療を行います。

糖尿病性腎症の病診連携

糖尿病性腎症(以下、腎症)は、透析導入患者の44%を占めています。腎症は発症後の進行が早い一方、適切な時期に適切な治療を行うことで進行抑制に加えて病期の改善(寛解)も可能なことが分かっています。そのため、当院では早期からの病診連携「YES-I-DO外来(別項参照)」と、広く一般の糖尿病性腎症を診察しています。

対象患者

糖尿病患者で、下記に該当する患者

  • 腎機能低下 eGFR 45以上(70歳以上は40以上)60未満
  • HbA1c 6.5%以上
  • 糖尿病歴が5年以上または不詳
  • 尿中アルブミンークレアチニン比   30mg/g・Cr 以上
  • 該当者確認のためのフロー図が必要な医療機関様は、地域医療連携室にお申し出ください。

糖尿病性腎症の病診連携の進め方

紹介をいただいたあと、原則1ヶ月位内(通常2回の外来受診と食事指導後)に「診断」と「今後の治療方針に関するコメント」、などをつけて、紹介医に逆紹介します。
eGFR30以下のCKDステージ4の中で病態の安定しない患者、ステージ5の患者は当院での管理が適当かと考えますが、患者さんの希望があり、かかりつけ医の了解があれば、かかりつけ医での管理とします。

紹介を受けたときに当院で行う検査、生活指導

  • 病歴、既往歴、薬歴、の詳細な聴取
  • 身体所見
  • 血液と尿の一般検査、蓄尿、腹部エコー、
  • 必要に応じて合併症の検査(網膜症、頸動脈狭窄、など)
  • 家庭血圧測定と生活・食事に関する指導

かかりつけ医への逆紹介用紙に記載される事項

  • 診断名、合併症の種類と程度、予後の見通し
  • 治療方針に関する考え方(血糖、血圧の管理目標、薬の種類、等を含む)
  • 生活と食事について指導した内容
  • その後の経過での紹介基準(どうなったら、再紹介いただきたいか)

診療スタッフと診療日

YES-I-DOは水曜日です。一般の糖尿病性腎症は月曜日~金曜日の腎臓内科外来で診察をさせていただきます。予約を取っていただいたうえ、受診時に紹介状を持参させてください。
YES-I-DOには専用紹介状をご使用ください。

糖尿病性腎症連携パス

多発性のう胞腎専門外来

近隣医療施設の皆様には、いつもご支援・ご協力をいただきありがとうございます。
現在、当院では慢性腎臓病(CKD)、糖尿病性腎症につきまして病診連携をお願いしておりますが、新たに2022年9月1日木曜日午後より「多発性のう胞腎専門外来」を開設することとなりました。

多発性のう胞腎(ADPKD)とは、腎臓にのう胞(水がたまった袋)がたくさんできて腎臓の働きが徐々に低下していく遺伝性の病気であり、厚生労働省により指定難病とされています。わが国の患者数は約31,000人と推定されています。この病気は、両親どちらかからの遺伝により、または、両親に病気がなくても患者さんが生まれるときに遺伝子の突然変異が起きることにより生じます。
患者さんの多くは成人になってから症状が出ますが、初期は無症状です。しかし、徐々に腎臓ののう胞が増えて腎臓全体が大きくなり、お腹が張ったり血尿が認められたり、のう胞に感染が起こることもあります。また、肝臓にものう胞ができてお腹が張ってくることもあります。その他に全身の合併症として、高血圧や脳動脈瘤(クモ膜下出血)が一般の方より高い頻度で起こります。
治療のひとつに尿を濃縮するホルモンであるバソプレシンのV2受容体拮抗薬(トルバプタン)の服用が挙げられます。この治療法では腎臓ののう胞が大きくなることを防ぎ、腎臓の働きの低下を抑える効果が見込まれます。
また、治療に加え日常生活で気を付けなければならない点もあります。脱水によるバソプレシンがのう胞を大きくし病気の進行を速めることになるため適切な水分摂取が大切になります。さらに高血圧や肥満も病気の進行に関わるので塩分制限などが重要となります。
適切な処置をせずそのまま放置した場合、徐々に腎機能が低下し腎不全となり、透析治療や腎移植治療が必要となります。この病気の患者さんの約50%は60歳頃までに腎不全になると言われています。しかし早期発見、早期対応により末期腎不全への進行を遅らせることが期待されます。
偶然発見された多発性の腎のう胞を持つ方、家族歴のある腎障害の方などをご紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。

多発性のう胞腎について、詳しくはこちらをご覧ください。

多発性嚢胞腎協会ホームページ

診察日

毎週木曜日午後(祝・休日は除く)

当院宛の紹介状が必要です。

完全予約制ですので、紹介医療機関様から「紹介患者受診申込書」と「紹介状」の写しのFAXによるご予約のみとさせていただきます。
紹介患者受診申込書の受診科欄に、「腎臓内科 多発性のう胞腎専門外来」とご記入ください。