/ 地域医療連携室だより
整形外科長朔 伊作
関節外科長徳山 周
変形性膝関節症等に対する人工膝関節置換術において、現在、わが国においても手術支援ロボットの普及が進んでいるなか、静岡県内中部エリア・公立病院で初となる「人工膝関節手術における手術支援ロボット」を令和6年4月に当院で導入しました。
写真左:徳山医師 写真右:朔医師
2022年に国内に導入された、最新の「人工膝関節置換術(TKA)専用のロボット」です。
全自動ではなく、医師の手術操作を安全・正確に制御し、ロボットが医師のサポート役になります。
医師は事前に骨の削り方と人工関節の入れ方を計画し、手術の際、ロボットは患者さん一人一人の骨の形を認識し1ミリ1度単位で計画の補助をします。医師が最終的に評価・判断をし、ロボットアームを用いて骨を削ります。
従来法よりも正確で精密な手術の実現が可能となります。
手術時間の短縮、予定した位置に人工関節を設置できることで、より高い患者さんの満足度の向上が期待できます。
今回導入した機器は、アメリカで人工膝関節置換術用に開発された手術支援ロボット「VELYS」です。
VELYSは、赤外線カメラによって脚の動きを捉え、肢位に合わせてロボットが自動追従をすることで正確な骨切りを実現します。日本においても最新の手術法です。
ロボット、カメラ、モニターで構成されており、ロボット部には骨切りを行うためのハンドピースが装着されています。全自動で手術を行うのではなく、外科医の手術操作を安全に正確に制御するのがVELYSの役割です。
膝の状態を可視化することが出来るため、情報をもとに外科医が手術計画を確認、調整の上、骨切りを行います。
リハビリテーション技術科 理学療法係係長熊代 泉
人工膝関節全置換術(TKA)において、PSI(Patient Specific Instrument)等のナビゲーションシステムや手術支援ロボットを選択的に導入しております。軟部組織を温存しつつ、罹患部位のみをインプラントで表面置換し、病前の患者さん本来の下肢アライメントに戻すKA(Kinematic Alignment法)を適応しています。低侵襲な手術により、術後のリハビリでは自然な膝の動きを獲得でき、膝関節周囲筋の筋力の回復や腫脹・痛みの軽減も早まり、歩容が安定します。
リハビリテーション技術科としても、患者さんの1日も早いADL改善を目標に運動療法を組み立てています。
全荷重開始:介助車いす・トイレ介助移動を目指す。
抗生剤投与後、バイタルが安定している方は訓練室にてリハビリを開始。
移乗動作練習から始め、膝関節を主に下肢関節可動域訓練・持続的膝関節他動訓練器(CPM)・自動介助運動・筋力強化練習・立位練習・病室での自主練習指導。
1日目のリハビリに加え、歩行練習開始。
病棟内にて看護師付き添いのもと歩行器歩行練習開始。
自宅退院に備え日常生活動作練習開始。
退院。医師が採血・レントゲン・歩容を確認し早期退院が決定。
杖歩行が安定している状態で退院。
週2回を目安に外来リハビリ。術後3か月でリハビリ終了を目指す。
変形性膝関節症の患者さんは、痛みが強く筋肉が硬くなり、関節をうまく動かせないでいる方が多くみられます。手術の有無に限らず、膝関節周囲筋の筋緊張をほぐすことの大切さを認識していただく事が重要となっています。
当院では、このような自主練習を指導しています。
椅子とタオルさえあればできる運動なのでお勧めです。運動後に立って足踏みをしてみると膝が動きやすくなったことが実感できると思います。
令和6年度 第2回 焼津市立総合病院シンポジウム
「膝と股関節の痛み(変形性関節症)について」
日時 | 令和6年9月12日(木)13:30~15:30 |
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場所 | 焼津市総合福祉会館「ウェルシップやいづ」3階多目的ホール |
定員 | 100人(申込順) |
講演 |
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参加方法 | 8月5日(月)~8月30日(金)9:00~17:00 電話でお申し込みください 病院経営戦略課 病院シンポジウム担当 054-623-3111(代表) |
定員 | 100人(申込順) |
患者さんをご紹介いただく際に、とくに高齢の方や難しいと思われる症例、手術を要する症例の場合などには、診察時にご家族が同席してくださるようお話しをお願いいたします。
円滑な診察のためだけでなく、患者さんが医師からの説明を理解し、納得して医療を受けることにもつながります。
ご協力をよろしくお願いいたします。
医師の異動がありましたのでお知らせいたします。