2025年1月号 VOL.50

/ 地域医療連携室だより

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新年のご挨拶

新年、明けましておめでとうございます。
平素より患者さんをご紹介いただきありがとうございます。
今後も当院の診療に関する情報等をお知らせしながら、地域医療連携を進めてまいりますので、医療機関の皆さまにおきましては何卒よろしくお願いいたします。

No Anesthesiologist, No Safety Operation.

志太榛原地区をはじめとした医療機関の先生方には、平素より当院に患者さんをご紹介いただき御礼を申し上げます。
麻酔科は、病院中央部門での業務が主であるため、地域連携とは少し縁遠い環境にあると感じられる先生も多いかと存じます。当院ではしばらく常勤麻酔科医が不在でしたが、令和5年4月より常勤専門医が赴任し診療しております。
今回は、当院麻酔科の紹介をさせていただき、麻酔科医が地域医療にどのような貢献ができる可能性があるかについてお話しさせていただければと思います。

麻酔科は外科系以外の先生とはなかなか接点が少なく、診療内容がわかり難い科かもしれません。麻酔科医の役割は手前味噌ではありますが、「手術室における患者の守護神」であると考えます。単に、手術室で麻酔薬を用い患者さんを眠らせ、痛みを取るだけではなく、患者さんを絶え間なく監視し、手術や麻酔薬によって起きる様々な変化や手術中の大出血など、生命に関わる様々な危険な状況に対して、適切に診断と治療を行い、患者さんの安全を確保しております。
地域医療連携室だより2025年1月号
 麻酔科医は手術中のみでなく術前に患者さんの状態を詳細に把握し、安全かつ快適な麻酔を受けることができるよう準備をします。その一環として、当院では2年前からハイリスク患者さんや事前の情報共有が必要な患者さんにおいては、主治医から事前に相談をいただく「麻酔相談外来」を設立し、安全性の高い周術期管理に努めております。特殊な手術においては術前に多職種で合同カンファレンスやシミュレーションを行っております。
 高齢化に伴い心・肺・腎・脳などの重症合併症を有する患者さんは急増しており、安全な周術期管理を実現するために麻酔科医の役割は大きくなってきていると感じております。手術後も麻酔科医が患者さんのところへ伺い、痛みへの対応や麻酔からの回復の観察を行っております。
来年度は「術後疼痛管理チームの立ち上げ」も予定しており、術後管理の質の向上にも力を入れてまいる所存です。手術室の守護神の名に恥じぬよう、地域の医療機関の先生方が手術になりそうな患者さんを安心してご紹介いただけるよう役目を果たしたいと思っております。

また、令和7年4月から救急救命士の気管内挿管実習の受け入れを開始することが当院救急科富田先生の御尽力のもと、決定いたしました。救急救命士が現場で気管内挿管を行う資格を取得するためには、手術室で麻酔科指導医の指導・監督のもと30症例の挿管成功実績が必要となります。すでに近隣の登録医療機関で挿管実習の受け入れは始まっておりましたが、当院においても受け入れが開始され、現場で挿管が可能な志太榛原地区の救急救命士が増え、当地区の救命率のさらなる向上につながれば幸いです。
今回、このような機会をいただき私自身も麻酔科医として地域医療に貢献できることはないかを再考する良い機会をいただくことができました。今後も地域の医療機関の先生方や患者さんのお役に立てるよう日々の診療に励むと同時に新たな活動も模索してまいりたいと思います。

MRI検査画像を用いた 早期アルツハイマー型認知症診断支援システム 『VSRAD』(ブイエスラド)のご案内

VSRADとは?「Voxel-Based Specific Regional Analysis System for Atrophy Detection 」の頭文字を取ってVSRAD(ブイエスラド)と呼びます。
MRI画像を使って、脳の萎縮度をみる検査【VSRAD】によって、早期アルツハイマー型認知症診断の支援が可能となりました。もの忘れが気になる方で50歳以上の方が対象になります。

アルツハイマー型認知症はもの忘れの進行とともに脳の萎縮、特に内側側頭部(海馬・扁桃・嗅内野の大部分)の萎縮が最も早期に起こることが判明しています。つまり、内側側頭部の萎縮を評価することができれば、早期アルツハイマー型認知症における画像診断のポイントになるといえます。

VSRADは早期アルツハイマー型認知症に特徴的にみられる内側側頭部の萎縮の形態情報を解析し、診断支援情報に変換するシステムです。このシステムの開発により、MRI画像の目視で評価することが難しかった早期アルツハイマー型認知症に対し、診断の支援情報の提供が可能になりました。アルツハイマー型認知症をMRI画像によって診断ができるようになると早い段階から積極的な治療の開始へとつながり、結果としてアルツハイマー型認知症の進行を遅らせることが期待できます。

頭部MRI+MRA検査(約15分)に約6分追加撮影で検査が出来ます。

解析結果のレポートの見方

1.「VOI内萎縮度」を確認

関心領域(内側側頭部:海馬・扁桃・嗅内野の大部分)内の萎縮の強さを表す指標です。関心領域に おいて、Zスコアが正の値となるボクセルのZスコア平均値を示します。
萎縮の強さを4段階の数字で表し、数値は下記を意味しています。

  • 数値0~1:関心領域内の萎縮はほとんど見られない
  • 数値1~2:関心領域内の萎縮がやや見られる
  • 数値2~3:関心領域内の萎縮がかなり見られる
  • 数値3以上:関心領域内の萎縮が強い
  • VOI内萎縮度が6を超える場合は、途中処理に失敗しているケースがありますので、VSRAD実施者にお問い合わせください。

2.「全脳萎縮領域の割合」を確認

脳全体の状態を表す指標です。脳全体の中で萎縮がみられるボクセルが何%存在するかを示します。

3.「VOI内萎縮領域の割合」を確認

関心領域(内側側頭部)の萎縮の広がりを表す指標です。関心領域の中で萎縮がみられるボクセルが何%存在するかを示します。

4.「萎縮比(VOI内/全脳)」を確認

関心領域(内側側頭部)の選択的な萎縮を表す指標です。関心領域の萎縮が全脳の萎縮に対して選択的であるほどこの値が大きくなります。

5.「スライス断面表示(標準脳 axial)」を確認

「スライスごとの萎縮の分布を確認します。この例では関心領域(内側側頭部)の萎縮が確認できます。

6.「脳表表示(標準脳)」を確認

脳の表面を8方向から捉えたもので、大脳皮質全体の萎縮状態を把握できます。アルツハイマー型認知症 (とくに若年発症の症例)で、内側側頭部よりも後部帯状回~楔前部、および頭頂側頭葉皮質の萎縮が優位な所見の評価に役立ちます。

  • 内側側頭部の萎縮は評価困難なため、スライス断面表示もあわせてご確認ください。

医師異動のお知らせ

医師の異動がありましたのでお知らせいたします。

12月31日 退職医師

  • 救急科 松山 周平
  • 外科 落合 伸伍

研修等開催のお知らせ

焼津市立総合病院 地域連携漢方講演会
「この科にこの1本」

日時 令和7年2月21日(金)18:00~19:15
場所 焼津市立総合病院 C棟3階講義室(ハイブリッド開催)
司会 焼津市立総合病院 平松 毅幸病院長補佐
講師 医療法人徳洲会 日高徳洲会病院 井齋 偉矢院長

令和6年度 第4回 焼津市立総合病院シンポジウム
「女性特有の病気や健康課題について」

日時 令和7年3月7日(金) 18:30~20:00
場所 焼津文化会館 小ホール
講師 廣田 泰(ひろた やすし)教授(東京大学大学院医学系研究科産婦人科学講座)
仲神 宏子(なかがみ ひろこ)医師(焼津市立総合病院 周産期科長)

★参加費無料、予約不要 直接会場にお越しください

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