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MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁石と電波を利用して様々な角度から体の断面の画像を撮像することができます。
当院では、MRI装置3台(3.0T:1台、1.5T:2台)で検査を行っています。
当院では原則予約制で検査を行っています。検査前には準備がありますので予約検査時間の20分前には1階「中央放射線科 受付」にお越しください。
検査は大きな筒状の装置に入っていただきます。検査をする際、とても大きな音がします。
この大きな音がしている間はできるだけ体を動かさないようご協力ください。
また検査の部位によっては息を止めていただくことがあります。(15秒から20秒程度)
検査時間は検査部位、内容によって様々ですが、30分程度の時間がかかります。
MRI装置は強力な磁石を使用しています。その為、金属類を一切持ち込むことができません。
検査前には検査着に着替えをしていただき、金属類をはずしていただきます。
着替えの大変な方はこの限りではありませんので担当技師に声をかけてください。
※コンタクトレンズ(特にカラーコンタクト)を使用している方につきましては、できるだけはずしていただくようお願いしています。
メガネ、時計、ヘアピン、アクセサリー類(ピアス、ネックレス等)、携帯電話、財布、鍵、磁気カード(キャッシュカード、テレホンカード等)、補聴器、入れ歯、湿布など
以下の方はMRI検査を受けられない場合がありますので、担当医や技師にお知らせください。
Q
なぜ検査ができない方がいるのですか?
A
MRI検査は強力な磁石を利用して検査を行っています。その為、体内に医療機器があると磁石の影響で正常に機能しなくなってしまう可能性があります。
また、体内に金属がある方(人工関節など)は材質や検査部位によって検査可能の場合がありますので、担当医や技師にお知らせください。
MRI装置は構造上で狭い筒状の中に入って検査をしていただきます。その為、狭い所が苦手な方は検査ができない場合があります。
Q
造影剤とは何でしょうか?
A
MRI検査に使用される造影剤は、血管(静脈)投与と経口投与の2種類があります。造影剤は、病変を明瞭にすること、血管の状態を把握することができます。
造影剤は必要に応じて使用されますので、全ての方に使用するわけではありません。 気管支喘息の方、アレルギーがある方、腎機能が低下している方には使用できません。
Q
小児の検査はどのように行っていますか?
A
MRI検査は患者さんの動きに大変弱い検査です。頭部検査のみ多少の動きについては補正することが可能ですが、小さなお子さんを検査する場合は小児科医の観察の中で、眠くなる薬を使って眠った状態で検査をさせていただいています。その為、検査時間が長くなる可能性があります。
平成28年より、当院ではMRIによる最新の画像技術「DWIBS法」をがんの発見や転移の検索、化学療法や放射線治療の効果判定に積極的に用いることで、がん患者さんに身体的、金銭的に負担の少ない検査を実現しています。
※DWIBSとPET(PET-CT)との比較表
DWIBS法(MRI) | PET(PET-CT) | |
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対象患者 |
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測定原理 | 水素原子(プロトン)の拡散抑制を利用 | ブドウ糖の取り込み差を利用(糖代謝) |
被ばく | なし | 検査薬(FDG)、CTの両方で被ばくあり |
痛み(注射) | なし | 検査薬(FDG)を注射する必要がある |
検査前処置 | なし(食事制限もなし) | 検査前6時間前から絶食、インスリンの制限あり |
検査後処置 | なし | 検査終了後、しばらくは検査区域から出られない |
検査時間 | 約40~50分 | 約30~40分(注射からだと約3時間) |
検査費用 | 保険適用(3割負担)約6,000円 | 保険適用(3割負担)約30,000円 |
キャンセル等 | 当日のキャンセルも可能(費用なし) | 直前(2日前)のキャンセル不可(検査薬の費用発生) |
発見しにくい疾患 | 脾臓、精巣(正常でも高信号となるため) | 脳、腎臓、尿管、膀胱など(検査薬の排泄経路にある腫瘍は検出できない) |
その他 | 動いてしまう患者さんは検査不可(強い痛みや認知症など)体内金属がある場合、画像に影響する | 糖尿病患者さんは病態によって検査できない場合あり 妊婦や小児には行われない(被ばくのため) |
写真左側は当院で撮ったDWIBS画像、右側は他院で撮ったPET画像です。
青い矢印は、原発の腫瘍です。○で囲った部分はすべて骨に転移したところになりますが、DWIBSの赤い○の部分は、PETでは見つけることが出来ていません。
DWIBSがとても有用であったことがわかります。
DWIBS画像
PET検査画像
左の画像は治療前、右の画像は化学療法後の画像になります。青い矢印で示した原発の腫瘍が、化学療法後の画像でほとんど見えなくなっています。化学療法が効いて腫瘍が小さくなったと考えられます。しかし、赤い○で囲った肩には、骨の転移が大きくなっていることや肋骨にも新たに転移ができていることもわかります。
このように経過をみていくことが、DWIBS検査でとくに利用価値のあるところです。
こちらも左の画像は治療前、右の画像は赤い矢印で示したところに放射線治療を行った後の画像になります。放射線治療を行ったところは色が薄くなり(信号が低下し)、放射線治療に効果があったことがわかります。また、治療前の画像の青い矢印で示した骨の転移はその後の画像で大きくなっていることがわかります。
それ以外にも、赤い○で示した箇所には新たな骨の転移、青い○で示したところはリンパ節に転移していることもDWIBS検査では見ていくことができます。
このように、DWIBS検査は1回で終わりではなく、繰り返し撮っていただくことで、患者さんの経過を細かく観察し、病気の早期発見、早期治療が実現していきます。
外科や泌尿器科、消化器内科を中心に、11診療科よりDWIBS検査を実施しています。主な対象疾患は、下の図をご参照ください。全身にわたって、DWIBS検査が行われています。
今後も幅広い分野においてDWIBS検査の増加が見込まれています。
がんを患う患者さんは、「がんが再発していないか・・・」「痛みは無いけど、どこかに転移をしていないか・・・」など、いつも不安でいっぱいだと思います。
DWIBS検査は、当院における全身検査の選択肢の1つとして、患者さんに貢献していきます。
また、がんや転移検索以外にも様々な疾患においてDWIBS検査の利用が期待されています。
どの診療科にかかられましても、検査をご依頼いただけますので、まずは各診療科、主治医にご相談ください。