病院で放射線科といいますと、たいていの方はレントゲン写真などを撮ってもらうところ(この部門は中央放射線科と称しています)を連想されると思います。総合病院には放射線治療医と放射線診断医という、皆様にはなじみの薄い医師がおり、総称して放射線科医と呼ばれます。
放射線治療は内科的治療でも外科的治療でもない治療手段ですが、多くの場合は、補助的治療法として選択されますが、疾患によっては第一の治療方法となることもあります。その場合は「切らずに治す」治療法となり得ます。適応となる疾患も少しずつ増えています。病院では治療の選択は各診療科の主治医の判断に委ねられていますが、放射線治療が選択された場合は、放射線治療医が治療内容の決定、その修正等を行います。治療部門には外来があって、放射線治療を受けられる方、受けられた方の診療をしています。
◆放射線診断およびIVRとは・・・
もう一つの部門である、画像診断医にさらになじみがないのは、直接患者さんに接する機会がないためでしょう。主な仕事は患者さんが受けられた画像検査、具体的にはCT、MRI、RI検査それに通常のレントゲン写真についての診断(読影といいます)を、主治医とは独立した見方から行い、また見落としがないようにすることです。特に忙しい外来診察の中で、情報量の多い画像から診断することは担当医にとってはかなりのストレスですし、患者さんにとっては一大事にならないとも限りません。その危険性を少しでも減らすために、主治医の手に写真が渡る前に読影という仕事をしている者が病院にいることを知っていただければ幸いです。読影に際しては、当院での以前の検査があれば読影にあたって必ず参考にさせてもらっています。
診断医のもう一つ重要な仕事に血管造影検査というものがあります。以前は画像検査の一つでしたが、現在は血管という体の内部に到達できるルートを介して、病巣を外科的手術をしないで治療するIVR(intervensional
radiology)という領域があり、これも「切らずに治す」という手段としての方が重要になっています。担当医師の着任により、IVRにも対応します。
放射線治療、診断どちらの部門も患者さんが最初から受診される科ではありませんが、病院の質を高めるためにも、また治療方法の選択の幅を広げるためにも必要な部門だと自負しております。ただ、裏方的存在の放射線科を生かすも殺すも各診療科との連携次第ということになります。
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