焼津市及び近隣市町の基幹病院小児科の果たすべき役割として次の5つの柱を考えています。
1) 一般小児科診療
小児医療の原点はいわゆるcommon disease(ありふれた病気)の診療を適切に行うことだと考えています。当科も小児保健、子育ての指導を含めたプライマリ・ケアの他、診療所では対応しきれない重症な患者の診療に取り組んでいます。
2) 小児救急医療
地域医師会と院内各科の先生方の協力を得て夜間、休日を含めた小児救急診療に取り組んでいます。一次救急から三次救急まで対応していますが、NICUと兼務していることもあり、現状の人手では、24時間、全ての小児患者を小児科医が診察をするのは不可能です。夜間、休日は、一定時間は小児科医が対応し、その他の時間帯は院内他科の医師の診察後、必要時のみ小児科医が対応する体制となっています。
3) 新生児・未熟児医療
新生児の病床として、8床のNICU(新生児集中治療室)と6床のGCU(NICUの後方病床)を擁しています。当院産婦人科で、リスクの高いお産を数多く取り扱っているため、当科も未熟児、病的新生児の診療で協力させていただいています。“安心してお産のできる病院”として、小児科の責務を果たしたいと考えています。
4) 小児専門医療
地域基幹病院小児科として専門医療の充実は重要と考え、東京大学小児科、帝京大学小児科、静岡県立こども病院の協力を得て、各種専門外来(予約制)を行っています。神経外来、心臓外来、喘息外来などがあります。ただし、大学病院や小児の専門病院ほどの高度専門医療は不可能であり、悪性腫瘍、小児外科的疾患等は、県立こども病院等に紹介・依頼しています。
5) 障害児支援
地域基幹病院小児科として重要な業務と考え、伝統的に力を入れて取り組んできました。平成21年からは障害児療育支援室という、小児科医、看護師、言語聴覚士、臨床心理士、理学療法士、事務職員等で構成するチームを設け、更に力を入れています。養護学校やリハビリテーションセンター等、地域の諸施設と連携して、障害児たちの療育に貢献したいと思います。
いわゆる「医療崩壊」が問題となるなど、医療をとりまく環境は日に日に厳しくなっています。そのような中でも可能な限り、地域基幹病院の小児科に求められる良質な医療を提供したいと思います。
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