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脳神経外科の対象となる患者の症状は、頭痛、手足のマヒやしびれ感、歩きにくい、ものが二重に見える、意識が悪い、うまくしゃべれない、会話が通じない、顔がゆがむ、ものが飲み込みにくくむせやすい、めまい、ふらつき、認知症、顔の痛みやけいれん、頭・頚部の外傷などです。
脳動脈瘤、くも膜下出血、脳出血、脳梗塞、脳動脈狭窄、脳動脈閉塞、内頸動脈狭窄症、一過性脳虚血発作、椎骨脳底動脈循環不全症、脳動静脈奇形、もやもや病、脳動脈解離など
神経膠腫、膠芽腫、髄膜腫、下垂体腫瘍、転移性脳腫瘍など
頭部外傷、脳挫傷、び漫性軸索損傷、慢性硬膜下血腫、急性硬膜外血腫、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、頭蓋骨骨折など
三叉神経痛、顔面けいれん、正常圧水頭症、先天奇形、脳膿瘍、硬膜外膿瘍、硬膜下膿瘍
特に、脳梗塞の超急性期や、出血性疾患(脳出血、くも膜下出血など)、重症頭部外傷などは、緊急性が高いため、開頭術やカテーテル治療などの手術を含めた迅速な治療を行います。
患者さんやご家族の方と十分な情報交換を行い、納得した治療を受けられるようにしています。
疾患に対する説明は、わかりにくいことも多く、可能な限り時間をとってお話させていただいています。
当科に関連する機器では下記のようなものがあります。
画像検査は、24時間可能です。
画像検査 | CT:80列(MDCT) CT:320列(ADCT) MRI:3.0Tesla 1台 MRI:1.5Tesla 2台 脳血管撮影装置 |
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手術関連性機器 | 手術顕微鏡2台 ニューロナビゲーター 神経内視鏡 術中神経モニター装置 |
高機能病棟機器 | 頭蓋内圧モニター(ICP) 低体温管理システム 経頭蓋ドップラー(超音波TCD) 持続脳波検査 |
くも膜下出血を発症して来院される方が多く、基本的に急性期手術(発症72時間以内)を行います。可能な場合は、開頭クリッピング術を行うようにしていますが、脳血管内手術適応患者には、コイル塞栓術を速やかに実施します。しかし、昏睡状態など患者さんの状態によっては、手術的治療の対象とはならない場合もあります。治療については、ご家族の方と十分相談の上、方針を決定します。くも膜下出血発症2週間以内におこる脳血管攣縮、脳梗塞に対しても積極的な治療を行います。
最近は高齢者のくも膜下出血が、多くなっています。80歳以上の方については、患者さん毎に経過や状態に差があり、慎重に検査を進めながら治療方針を決定します。
また、症状もなく、偶然発見される脳動脈瘤の方も多くみえます。基本的には日本脳ドック学会、日本脳卒中学会の診療ガイドラインに従っています。本人、ご家族の方に十分にお話を聞いていただき、検査の方針、治療方針を相談します。それにより手術などの治療を受けられる方もありますし、経過観察の方もいます。
治療をする場合は、開頭クリッピング術、脳血管内手術のいずれかを行うことになります。詳しい検査を行い、いずれが適正か、十分検討の上、治療をすすめます。近年比較的高齢の方が増え、経過観察となる方も多くなっています。
経過観察の場合は、血圧を適正にコントロールし、禁煙し、飲酒量も控えるように説明しています。その上で、6-12ヶ月毎に画像検査で経過を見ています。
これらの脳腫瘍の治療成績を上げるには、手術において、多くの腫瘍を摘出する必要があります。これには、Brain Lab社製ナビゲーションシステムを用います。画像診断で得られた腫瘍の範囲を的確に、手術中に確認しながら摘出します。また、病理部門と協力し、術中迅速病理診断を行います。その上で、悪性神経膠腫の場合、腫瘍摘出腔へギリアデル留置を検討します。最終的な病理診断から、放射線・化学療法が必要になれば、放射線科の協力を得て、放射線照射計画を立て、さらに化学療法薬(テモダール)のプロトコールに従って治療を施行します。また、症例に応じて、アバスチン投与を行います。
他の臓器のがん患者さんに、転移性脳腫瘍が発見された場合、担当の医師より脳神経外科に連絡があります。患者さん、ご家族の方からインフォームドコンセントを得て治療します。治療は、必要であれば、開頭腫瘍摘出術を施行します。また、多発病変などの場合には、定位的照射治療、拡大局所照射療法を選択することが多くなります。
良性腫瘍の場合、可能な限り全摘出を目標に手術をします。髄膜腫は、最近は比較的小さいサイズで発見される方が多くなりました。しかし時には、かなり大きくなった状態で発見される患者さんもいます。できるだけ脳に影響を及ばさないように丁寧に腫瘍の摘出を行います。
下垂体腫瘍は、多くは手術治療が必要です。その場合、経蝶形骨洞手術(鼻の中より手術)を行います。ただ、プロラクチン産性腫瘍に関しては、まず内服薬で治療します。
聴神経腫瘍は、腫瘍が大きくなると、手術が必要になります。その場合、聴神経機能、顔面神経機能を手術中にモニターしながら、術後の後遺障害を少なくするように、丁寧な手術をします。
偶然発見された症状のない良性腫瘍の場合は、慎重に検査をすすめ、手術を検討したり、経過観察をします。
開頭手術(神経血管減圧術)、ボツリヌス毒素注射、薬物療法等を、患者さんと十分に相談の上、選択します。
脳神経外科の治療は手術が主体です。しかし、手術件数と入院患者数をみますとわかりますように、手術をしない患者さんも多くいます。
特に脳内出血、脳梗塞の場合、多くの方に内科的な治療(点滴、内服等)を行い、リハビリテーションを急性期より導入します。リハビリテーションは理学療法士11名、作業療法士9名、言語聴覚士5名の充実した体制です。
言語聴覚療法では、失語症、構音障害などの言語療法はもちろんのこと、摂食、嚥下障害に対する摂食、嚥下訓練及び高次大脳機能障害に対する機能訓練も行います。
頭部外傷後の患者もリハビリテーションを行います。特に、頭部外傷後には、最初気づかないのですが、時間が経ってから、家事がうまくできない、仕事が以前のようにできないなどに気づき、高次大脳機能障害が分かることがあります。その場合、高次大脳機能検査等を行い、機能訓練、職場・学校への復帰のお手伝いなどを、患者さんの状態に合わせて行います。
一方、急性期を過ぎた方の回復期リハビリテーションは、適応があれば地域の回復期リハビリテーション病棟にお願いしています。この場合、脳卒中の患者さんであれば、脳卒中地域連携パスを用いて、速やかな紹介、転院をしています。
回復期リハビリテーションは、焼津市内の甲賀病院、岡本石井病院、駿河西病院、藤枝市内の聖稜リハビリテーション病院、静岡市内の静岡リハビリテーション病院、静清リハビリテーション病院、静岡厚生病院、静岡市立清水病院、菊川市内の菊川市立総合病院、御前崎市内の市立御前崎総合病院、伊豆市内の中伊豆リハビリテーションセンター等にお願いしています。
臨床研究を行う場合、診療情報等の過去の情報のみを用いた研究や、手術検体試料を用いるような研究については、文部科学省と厚生労働省が定めた「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」(平成27年4月1日施行)に従い、「必ずしもインフォームド・コンセントを受けることを要しない」とされております。
当科では下記臨床研究について、診療情報から個人が特定される情報は削除した上で、学会や雑誌等で発表されますが、その際にも個人が特定される情報は公表しません。ご自身の情報提供並びに拒否される方は遠慮なく申し出てください。ご不明な点があれば担当医師にお尋ねください。
2018年1月から当院脳神経外科に入院された患者さんの臨床データを解析させていただき、脳神経外科医療の質の評価に役立てることを目的としています。
解析にあたって提供するデータは、提供前に個人を特定できない形に加工した上で提供しますので、患者さんの個人のプライバシーは完全に保護されます。
但し、各個人から本登録の拒否の意思表示があった場合は、登録から除外いたします。
研究事業についての資料の閲覧を希望される方は、研究班ホームページをご参照ください。
山村 泰弘 / やまむら やすひろ
川勝 暢 / かわかつ とおる
菊山 薫 / きくやま かおる
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | ||
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午 前 |
1 | 山村 泰弘 | 富田 守 | 竹原誠也 (非常勤) |
坂本量哉 |
浜松医大 |
2 | 菊山 薫 | 川勝 暢 |
山村 泰弘 |
ー | ー | |
午 後 |
※ | ー | 山村 泰弘 (専門外来) |
ー | ー | ー |
休診・代診はありません。
最近の手術件数を以下に示します。
令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | |
---|---|---|---|---|---|
手術件数 | 164 | 146 | 174 | 129 | 145 |
令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | |
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脳血管障害 | 57 | 48 | 51 |
脳動脈瘤クリッピング術 | (19) | (9) | (10) |
脳内血腫除去術(開頭) | (4) | (4) | (7) |
脳動静脈奇形摘出術 | (1) | ||
脳血管内手術 | (28) | (32) | (28) |
血栓内膜剥離術 | (6) | (1) | |
その他 | (3) | (4) | |
頭部外傷 | 54 | 37 | 47 |
慢性硬膜下血腫 | (48) | (33) | (43) |
急性硬膜下血腫・外血腫 | (6) | (3) | (3) |
脳挫傷、頭蓋底骨折 | (1) | ||
その他 | (1) | ||
脳腫瘍 | 17 | 7 | 9 |
原発性脳腫瘍 | (9) | (7) | (6) |
下垂体腺腫 | (1) | (2) | |
転移性脳腫瘍 | (4) | (1) | |
その他 | (3) | ||
その他 | 46 | 37 | 38 |
脳室腹腔シャント術 | (17) | (9) | (8) |
脳室ドレナージ術 | (4) | (6) | (1) |
頭蓋形成術 | (6) | (7) | (7) |
その他 | (19) | (15) | (22) |
合計 | 174 | 129 | 145 |
病名 | 患者数 | ||
---|---|---|---|
令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | |
脳血管障害 | 255 | 205 | 173 |
頭部外傷 | 163 | 144 | 139 |
脳腫瘍 | 40 | 24 | 29 |
その他 | 45 | 34 | 40 |
合計 | 503 | 407 | 381 |