乳腺外科

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概要

診療紹介

女性がかかるがんで数の多い乳がんの診断、治療を主に扱う診療科です。乳がんの手術では整容性にも配慮し切開し、皮膚温存が可能な場合は可能な限り創部が目立ちにくくなるよう努めています。薬物療法では患者さんの肉体的、精神的な苦痛を少しでも小さくするため適切な薬物療法を選択し、低栄養を見逃さないよう多職種で連携しています。

主な対象疾患

乳がん など

患者支援を多面的にサポート

日本人女性の9人に1人が乳がんにかかることが示されています。
当院では、乳がんになった場合、安全で質の高い医療が提供できるよう、チーム医療で患者さんをサポートしています。
乳がんの診療についてその概略をご説明します。

診断

視触診(乳腺外科)画像診断(放射線科、一般撮影室、生理機能検査室)

乳がんはしこりで気づいて来院される方が約8割です。乳房の異常所見やわきのリンパ節の腫大などにより、がんの可能性がある時には、以下の検査を実施します。
マンモグラフィは、しこりの内部の密度や辺縁の形状等を調べるX線検査です。当院では、1㎜幅の断層撮影機能を有するデジタルマンモグラフィ装置により、精密な診断が可能です。
乳腺エコー検査では、病変の内部構造や広がりを調べます。また、病変をエコーで見ながら針を刺して組織を採取する検査も可能です。
造影MRI検査は、病変の細胞や血管の密度を3D画像化して病変の性状と範囲を調べます。
造影CT検査では、乳房を1㎜幅で断層撮影して病変の広がりを明らかにし、胸腹部の内臓への転移の有無を調べます。

病理検査(病理診断科、病理室)

乳腺のしこりを針で穿刺して採取した組織や細胞を特殊染色して、がんか否かを診断します。組織診では、さらに、その悪性度や有効な治療薬まで判定します。手術中に、切除範囲を決定するために、摘出乳腺の断端および周辺リンパ節の癌細胞の有無を迅速に判定し、術後には、乳房内のがんの広がりやリンパ節転移個数を精細に分析します。

治療

遠隔臓器(骨、肺、肝臓など)に転移巣が明らかでない乳がんでは根治目的で、①乳房内および転移したリンパ節を手術で除去する、②全身へのがんの転移・再発率を低下させるために有効な薬剤を投与する、③局所再発率を低下させるために胸壁に放射線を照射します。一方、遠隔転移巣が明らかな時には、根治は困難なため、その副作用で患者さんの生活の質ができるだけ損なわなれないような治療を選択します。

乳房温存術と乳房切除術(乳腺外科、麻酔科、看護科(手術室・病棟))

乳房温存術は、乳房を部分的に切除する術式で、術後に残存乳房に再発予防目的の放射線を照射します。一方、乳房切除術は乳房を全部切除する術式です。どちらを行うかは、乳房内のがんの広がりと患者さんの要望により決めています。

乳房再建術(形成外科、看護科)

乳房を全部切除する方で、胸壁再発の危険が低く、ご本人の希望があれば、乳房再建術を行っています。再建には、自分の組織か、シリコンのインプラントを用います。自己の組織としては、当院では、血管付きの腹部脂肪組織を、胸部の血管に顕微鏡下に吻合する、腹筋温存の再建法を行っています。

放射線療法(放射線科・リニアック治療室)

放射線は、がん細胞のみならず正常細胞のDNAも破壊しますが、がん細胞は正常細胞よりも回復能力が低いため、がん細胞だけを死滅させる工夫をして照射します。乳がんでは、術後の胸壁再発予防の照射(週5回の外来通院で3~6週間)や、骨転移の痛みの緩和的照射のために用います。

薬物療法(乳腺外科、薬剤科、点滴治療センター)

薬物療法には大別すると、化学療法剤(がん細胞も正常細胞も攻撃する)、分子標的薬剤(主にがん細胞に作用する)、免疫療法剤(自身の抗腫瘍免疫能力を高める)、抗女性ホルモン剤(乳がんの増殖スイッチが入らないようにする)があり、その副作用は、その順に弱くなります。外来での化学療法は、専任の薬剤師・看護師がいる「点滴治療センター」でのみ施行しています。

心身のケア(緩和ケア)

緩和ケア

緩和ケアとは、「生命を脅かす疾患による問題に直面する患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的、心理的、社会的な問題、さらにスピリチュアル(宗教・哲学的な魂)な問題を早期に発見し、的確な評価と処置を行うことによって、苦痛を予防し、和らげることで、生活の質を改善する行為」で、多種の医療職が多面的に担当しています。

リンパ浮腫のケア(看護科)

乳がんの手術では腋窩リンパ節切除に伴い、腕にリンパ液がうっ滞しやすくなり、リンパ浮腫をきたすことがあります。スキンケア、徒手リンパドレナージ、弾性包帯・ストッキングなどのケアを行っています。

リハビリ(リハビリテーション科)

手術時には広範囲に皮膚と皮下組織を剥離し、病変摘出後には皮膚面が乳腺や大胸筋に癒着します。そのため、肩を動かすと創部がひきつれる感じが生じ、肩の運動を控えていると、肩が上がりにくくなります。理学療法士と作業療法士が患者さんの自律訓練のお手伝いと、より積極的な肩関節可動域を拡大する訓練を行います。

よろず相談(看護科、よろず相談)

がんと告知されると、「なぜ私が・・・。」という自問、治療の副作用に対する不安、再発への不安、将来の生活の不安・・・など、私達は様々な苦悩を抱えることになります。
当院では、そのような皆様のがんに関する悩みや疑問などに、心や体の苦痛の緩和を専門的に勉強した看護師やソーシャルワーカーが対応する、「緩和ケア・がんよろず相談」を設置してありますので、一人で悩まれずに、ご相談ください。また、がん経験者が、がん患者さんの相談や悩みに同じ目線で答える「ピアサポート」にご協力いただける方のご連絡もお待ちしております。

医師紹介

  • 平松 毅幸 / ひらまつ たけゆき

    • 役職
      • 乳腺外科特任科長 兼 診療支援センター栄養サポート室長 兼 健診センター長
    • 専門分野
      • 外科一般(特に乳腺)
    • 資格
      • 日本外科学会認定外科専門医
      • 日本がん治療認定医機構がん治療認定医(2025年3月まで)
      • 日本医師会認定産業医
      • 検診マンモグラフィ読影認定医
      • 日本静脈経腸栄養学会認定医
      • 臨床研修指導医
      • がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会修了者

外来担当医表

月曜日 火曜日 水曜日 木曜日 金曜日

2 平松 毅幸

平松 毅幸

4・18・25


2 平松 毅幸

平松 毅幸

4・18・25

休診情報

休診・代診はありません。

診療実績

乳腺外科 手術症例件数

疾患部位 令和 3年度 内悪性腫瘍症例 令和 4年度 内悪性腫瘍症例 令和 5年度 内悪性腫瘍症例
乳腺 63 62 57 55 54 50
63 62 57 55 54 50

乳腺外科 術式別件数

術式 令和3年度 令和4年度 令和5年度

乳腺

乳癌に対する乳腺切除術 59 53 45
乳腺腫瘤切除術・生検術 1 2 7
腋窩リンパ節等郭清 0 1 2
計(延べ数) 60 56 54

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