人工股関節置換術

/ 整形外科

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人工股関節全置換術
(変形性股関節症・大腿骨頭壊死・大腿骨頚部骨折等の手術)

THA: Total Hip Arthroplasty

人工股関節全置換術とは

変形性股関節症、関節リウマチ、大腿骨頭壊死、外傷等が原因で股関節に変形や痛みが生じます。薬やリハビリといった保存的治療でも痛みが治らず、歩行の不自由が続く場合、手術を行います。
人工股関節全置換術とは、痛みの原因となっている変形の進んだ股関節の表面(軟骨と骨)を取り除いて人工関節に置き換える手術で、優れた除痛効果と生活の質の改善が得られることが特徴です。

健康な股関節

変形性股関節症

変形性股関節症のレントゲン写真(右側)

人工股関節の構造

人工股関節は金属製のステムとソケット、それぞれにはめ込むボールとライナー(ポリエチレンもしくはセラミック製)を組み合わせてできています。ライナーが軟骨の役割をし、スムーズな関節の動きが得られます。また、近年の人工関節は耐久性や機能に優れ、以前よりも長持ちすることが期待されるため、生涯を通して問題なく過ごせる方も多くいらっしゃいます。

人工関節の構造

手術の手順

全身麻酔下で手術を行います。6~7cm程の皮膚切開で、股関節の損傷している部位を取り除きます。取り除いた骨や軟骨の代わりに人工股関節インプラントを固定します。インプラントが正しく固定できていることを確認したら、傷口を閉じて手術終了となります。

当院における工夫

当院では最小侵襲手術を導入しています。最小侵襲手術とは、治療する部位の侵襲(ダメージ)をできるだけ小さくし、患者さんの体にかかる負担を軽くする手術方法のことをいいます。
当院では前方侵入法(前外側侵入法)を用いて手術を行っています。従来法と異なり傷口が小さく、筋肉や腱を切らずに温存しながら手術を行うため、術後の痛みや筋力低下を軽減し、早期回復、早期社会復帰につながります。

  • 前方侵入法は、従来法(後方侵入法)と比べ手術を仰向けで行うため体位が安定しており、股関節のレントゲン像を撮影しながら手術を進めるため、正確なインプラント設置や脚長調整が可能となります。前方侵入法は手術後に脱臼しにくいことも利点です。
  • 傷口は吸収性の糸で縫い、皮膚表面は専用のテープで固定するため抜糸の必要はなく綺麗に閉じます。傷は小さく目立ちません。手術後2週間から3週間で歩行も安定し退院可能となります。

人工股関節置換術後のレントゲン写真

人工股関節置換術 術後の傷口の写真(6-7cm)

人工股関節全置換術の良い点・悪い点

良い点

  • 最小侵襲手術により、正常組織をできるだけ温存しながら、痛みの原因である関節の病変部位を人工関節に置き換えるため、優れた除痛効果があります。
  • 日常動作において、従来法ほどの姿勢制限なく生活することができます。
  • 術後の回復が早く、早期社会復帰が可能です。
  • 一般的に手術後の満足度が高いと言われています。
    (※症状の改善には個人差があります。)

悪い点

  • 合併症

    まれに別の病気が起こることがあり、代表的なものに感染、血栓塞栓症、脱臼、人工関節の緩みなどがあります。また、人工関節に過度な負荷がかかる姿勢やスポーツ等はおすすめできません。

入院から退院までの流れ

外来 レントゲンや採血等の検査、手術の説明、自己血貯血※1、歯科口腔外科受診※2
※1 必要に応じて手術の前にご自分の血液を採っておき、手術後に輸血する方法です。
※2 人工関節手術の前に歯科口腔環境のチェックを行っております。
手術前日 入院 術前の準備をします。
既往のご病気をお持ちの方は、1週間程早く入院が必要となることがあります。
手術当日 術前 点滴などの事前準備をし、手術室へ移動します。
術後 病室に戻ります。
術後1日目 飲食を開始します。ベッドから起き上がり、車椅子に乗ります。
術後2日目 歩行訓練など リハビリテーションを開始します。
術後2~3週間 退院可能です。