/ 整形外科
前十字靭帯 ACL:Anterior Cruciate Ligamen
前十字靭帯とは膝関節の大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)を繋ぐ靭帯です。大腿骨に対して脛骨が前方にずれるのを防ぐ、とても重要な役割を担っています。
運動中などの膝の怪我により、前十字靭帯が断裂すると、以後運動の際に膝の不安定を感じるようになります。運動だけでなく、歩行や階段の昇り降りなどの日常生活動作でも膝の不安定を感じる方もいます。また、前十字靭帯の断裂を長期間放置しておくと、半月板という膝関節内の軟骨が損傷し、活動量の多い方では関節の変形が進行します。
怪我をした際の状況やその後の経過を確認し、診察やMRIなどの画像検査を行うことで診断が可能です。前十字靭帯を損傷した際、半月板も同時に損傷することが多いです。
前十字靭帯は断裂したままでは癒合しないため、靭帯の機能を獲得するためには手術が必要となります。スポーツの復帰を目指す方には手術をお勧めします。
手術は全身麻酔で行います。膝から移植腱(グラフト)と呼ばれる腱を採取して、関節鏡と呼ばれる内視鏡を用いて前十字靱帯が断裂した部位に腱を移植します。(元々前十字靭帯が走行していた部位に骨のトンネル(骨孔)を作成し、移植腱を通して、小さな金具で固定します。)
移植腱としてハムストリング腱、骨付き膝蓋腱、大腿四頭筋腱を膝から採取し使用しています。どの腱を用いるかは患者さんのスポーツ種目や生活動作により決定しています。また、移植腱が成熟した頃(術後1年程度)に小さな金具を抜去する手術(抜釘)を受けられる方も多くいます。
外来 | 血液検査や画像検査など術前検査、手術の説明をします。 | |
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手術前日 | 入院 | 術前の準備をします。 |
手術当日 | 術前 | 点滴などの事前準備をし、手術室へ移動します。 |
術後 | 病室に戻ります。 | |
手術翌日 | 飲食を開始、歩行訓練や可動域訓練などリハビリテーションを開始します。 | |
術後2週間後 | 退院可能です。 | |
術後2~3ヶ月 | ジョギングを開始します。 | |
術後8ヶ月 | スポーツ復帰可能です。 |