焼津市立総合病院

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医療関係の皆さまへ

地域医療連携室だより

地域医療連携室だより 2020年2月号 VOL.30

脳神経外科の診療について               脳神経外科 脳血管外科長  山村 泰弘


脳神経内科の診療について                脳神経内科 臨床検査科長  金本 忠久

 酒井科長、鈴木医師、竹ノ内医師と、昨年の夏まで1年半の間働いて下さった伊賀ア先生が退職されて、現在は私含めて4名のチームで働いています。

 昨年を振り返ると、平成30年度は987人の患者さんが当科に入院されています。
 最も多いのは脳卒中でした。1年で247人が治療を受けておられます。うち14人がtPAを施行しています。
 続いて、てんかん59人、末梢神経障害52人、パーキンソン関連が38人、運動ニューロン病、髄膜炎、多発性硬化症、脊髄炎、脳炎、重症筋無力症と多様な疾患を診させて頂いています。脳神経外科とも、毎朝合同カンファレンスで密な連携をしていて、仲良く働いています。
 他方、脳神経の分野とは別に、内科系の一角として救急診療にもあたっています。
 私の記憶では10年ほど前、当院の内科系勤務医が全員で11名だった時代があったように記憶しています。当時と比べて、当院の内科系医師は増加傾向ではありますが、まだ決して充分とは言えません。内科全体が助け合いながら救急診療を維持している実情があります。
 平成30年度は当科で、肺炎や尿路感染といった内科疾患364人の入院患者さんを診療しました。患者さんの数で言えば、2:1で脳神経内科と内科救急診療をしています。

 さて、最近の当科の大きな話題と言えば、急性期脳梗塞に対する血栓回収療法です。
 少し前、2013年に発表されたランダム化比較試験RCTでは、血栓回収はtPAに比べて有意性を示せず、課題が残る結果でした。主幹動脈を根こそぎ詰まらせるような巨大な塞栓を、tPA単独で再開通に至らせることは難しく、治療していて忸怩たる思いがありました。
 しかしながら、旧来デバイスの改良、治療開始遅延の改善といった課題克服ののち、翌2014年から計画されたRCTが相次いで発表されています。

 大系で誘導性能が向上した血栓回収デバイスPenumbraシステムとStent retrieverが導入され、複数のRCTで、特定の条件を満たす症例に対する血栓回収療法が、tPAに優る転帰改善効果が証明され、標準治療としての地位が確立されています。

 当院では脳神経外科が治療しています。昨年は9人の患者さんがこの治療を受けました。ひとりひとりの患者さんに対して準備することは増え、大変さを感じる時もありますが、やはり成績が良くなることはモチベーションが上がります。

 因みに、血栓回収療法は「病前mRS 0〜1で」「発症6時間以内に血管内治療開始可能な」「NIHSS≧6」の「ICA/MCA M1閉塞」で「ASPECTS ≧6」の症例が良い適応とされています。今後、適応はさらに拡大される可能性があります。血栓回収ほどダイナミックではありませんが、難病治療にも変化があります。

 ひとつは分子標的薬剤の進歩です。
 重症筋無力症の治療はステロイドによる免疫調整が基本です。難治性の場合、免疫グロブリン大量静注療法や血漿交換が選択されますが、それにも抵抗性の場合。あるいは頻回の侵襲的治療を余儀なくされている場合。補体C5阻害薬が新たな選択肢として注目されています。いわゆる分子標的薬で、2017年MGに対する適応を日本でも取得しました。同薬剤は今年から視神経脊髄炎の適応もとっています。

 もうひとつは遺伝子治療です。
 脊髄筋萎縮症SMAは、遺伝学的原因による乳児死亡の中で最も多い原因疾患です。脊髄及び脳幹内の運動ニューロンの変性によって引き起こされる神経筋疾患で、骨格筋の萎縮及び筋力低下がみられることが特徴です。幼小児期に発症する I、II型の95%にSMN遺伝子欠失が認められ、学童期発症のIII型の約半数、成人発症IV型の1−2割においてSMN遺伝子変異が認められます。このSMN2 mRNA前駆体を標的として、機能性SMNタンパク質の産生を増加させるアンチセンスオリゴヌクレオチドが開発され、運動機能の改善効果が認められました。こちらも最近適応を取得しています。

 話題のiPS細胞を用いたパーキンソンの再生医療、HGFの細胞増殖作用によるALS治療など、臨床に向けた研究も始まっています。「根本治療のない神経難病」というイメージが今後刷新される可能性があります。
 遺伝子イメージ

一次脳卒中センターとして認定されました

 当院脳卒中センターは、令和元年9月に一般社団法人日本脳卒中学会より、「一次脳卒中センター(PSC)」として認定されました。

 一次脳卒中センターとは、脳血管内治療専門医が1名以上在籍し、24時間365日脳卒中患者を受け入れ、血栓溶解療法(tPA療法)、脳血栓回収療法が可能な施設です。
 また、脳卒中専用病床を有し、多職種からなる脳卒中チームをつくり対応します。
 一次脳卒中センター認定証
 ●当院脳卒中センターの概要
 当院脳卒中センターは、脳神経外科、脳神経内科、リハビリテーション科の各科が密接に連携しています。そして、充実した診断・治療機器と、コメディカルスタッフのサポートにより、脳卒中発症の超急性期の診断から治療、リハビリテーションまでの脳卒中診療にあたります。重症脳卒中、特殊な脳卒中等についての高度で専門的な診療も行っています。

医師異動のお知らせ

 日ごろからご支援、ご指導いただきありがとうございます。医師の異動がありましたのでお知らせいたします。

■令和元年12月31日 退職医師
 
小児科    水岸 貴代美

■令和2年1月15日 退職医師
 産婦人科   芦川 すが

■令和2年1月6日 新任医師

 耳鼻咽喉科   影山 桃子



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