焼津市立総合病院

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医療関係の皆さまへ

地域医療連携室だより

地域医療連携室だより 2021年11月号 VOL.37

産婦人科と低侵襲手術 ~da Vinci 導入に向けて             周産期科長  黒田 健治

 子宮鏡・腹腔鏡下手術・ロボット支援手術など、体に負担の少ない外科手術は低侵襲手術と呼ばれています。近年、婦人科領域において、これらの手術を希望する女性患者様が急速に増加傾向にあります。

 低侵襲手術は、従来からの開腹手術と比較しますと、多くのメリットがあります。
 ●手術創(傷跡)が小さい
 ●術後の痛みや癒着が少ない
 ●術野を拡大し観察が可能   
 ●入院期間が短く、社会復帰が早い
 
 当科では、いち早く子宮鏡・腹腔鏡下手術を導入しており、適応疾患として、卵巣嚢腫(妊娠中も含む)、子宮筋腫・腺筋症、子宮内膜ポリープなど多岐にわたり、必要に応じ休日・時間外での緊急手術として、卵巣茎捻転、卵巣嚢腫破裂、異所性妊娠なども実施しています。
 また、今秋より手術支援ロボット「da Vinci Xi」を導入いたします。すでに泌尿器科分野で運用されていますが、婦人科領域においては、子宮筋腫・子宮腺筋症に対する子宮全摘出術が主な適応となります。

 ロボット手術は、3Dによる立体視と最大10倍までのズーム機能、人の手首より広い可動域で手ぶれ補正を持つロボットアームが特徴です。その結果、緻密な操作が可能となり、細かい血管まで見えるため手術中の出血量が少なくなることで、より安全な手術を提供できます。

 最後に、志太・榛原地域の医療機関の諸先生方には、これまで当科への患者様のご紹介やご依頼などで大変お世話になっておりこの場をお借りし厚くお礼申し上げます。
 時代の変化とともに、患者様のニーズも多岐にわたるため、可能な限り時間をかけて患者様のニーズにお応えするよう努力しております。地域に貢献できるよう微力を尽くしてまいりますのでご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。


放射線リスクと低線量肺がんCT検診                中央放射線科 科長  加藤 久佳

 日頃より、画像診断を利用いただきありがとうございます。昨年度は新型コロナ感染症の影響をうけ、検査数も減少がみられました。令和2年度の利用は、約1000件で、ピーク時より300件ほどの減少でした。現在CTが2台、MRIが3台稼働しており、予約待ち期間も短くなっています。ぜひ、ご利用頂けたらと思います。
 今回は、「放射線リスクと低線量肺がんCT検診」についてご紹介です。

 私たちは、日常生活をする中で知らず知らずのうちに放射線を受けています。宇宙からそして大地から受ける自然放射線による外部被ばく、食物や空気中のラドン等自然由来の放射性物質から受ける内部被ばく、合計すると年間で世界平均2.4ミリシーベルト、日本平均では2.1ミリシーベルトになります。また、ブラジルのある地域では、10ミリシーベルトを超える地域もあります。

 日本では放射線検査等で受ける医療被ばくの割合が大きいことが知られています。これは、1回の検査当たりの被ばく量が大きいCT検査が広く普及していることや、胃がん検診で上部消化管検査が行われているためと考えられています。
身の回りの放射線被ばく線量イメージ図
 放射線が体に及ぼす影響について、受けた放射線の量が100ミリシーベルト未満であれば、放射線検査を受けた人も受けなかった人も、発がん率や遺伝的な影響の差は無いと言われています。CT検査に用いる放射線の量については、通常のCT検査で100ミリシーベルトを超えることはありません。(さらに、お子様の場合は、体格を考慮して大人よりも少ない放射線量で撮影するようにしています。)
 
 日本における悪性腫瘍による死亡の第1位は肺がんです。年間約7万人の方が命を落としています。肺がんは病変がある程度進行するまで症状があらわれにくく、発見された時は進行していることが少なくありません。がんの中でも生存率の低い病気といわれています。早期発見がなによりも大切です。
 肺がん検診で代表的な胸部エックス線検査では小さな病変を見つけるには限度がありますが、胸部CT検査はそれらを見つけるのに最も有効な検査の一つになります。さらに肺に限れば低線量CTを行う事が可能です。一般的な胸部CT検査は、肺の検査だけでなく心臓や血管の状態も同時に調べています、それらの臓器を詳しく画像化するために、ある程度の放射線量を必要とし検査しますが、低線量肺がんCT検診は、肺のみを目的に検査するので、一般的な胸部CTよりも被ばく線量が低減する事ができ、受診者に優しい検査となっています。通常の検査時よりも放射線量を5分の1程度に少なくした低線量で撮影しています。(当院での被ばく線量は2ミリシーベルト以下に設定しています。)
 低線量肺がんCT検診では、体(肺)を輪切りに描出する断面像を撮影します。胸部エックス線検査では見つけにくい濃度の薄い肺がんや、心臓、血管、肋骨に隠れてしまう肺がんを見つけることができます。胸部エックス線検査と比較してCTによる肺がん発見率は約10倍程度高く、見つかる肺がんは早期の比率が高いといわれています。より小さな病変や早期の肺がんを発見し有効な治療が可能になります。他にも肺気腫、肺線維症などの肺疾患の抽出も可能です。しかし、がんではない紛らわしい陰影も見つかることがあります。その際には精密検査や経過観察などを行うこともあります。
 米国の国立がん研究所(NCI)は、CT検診により検診受診集団の肺がん死亡率が減少するか否かを調べる大規模な臨床試験を、55歳から74歳の重喫煙者を対象に行いました。その結果、胸部エックス線検診群に比べ低線量肺がんCT検診群の肺がん死亡率が約20%減少し、総死亡(肺がん以外の原因も含めた死亡)も6.7%減少したことが報告されています。

 当院では、肺疾患で経過観察の方、検診で要精査となった方、人間ドック希望者等で行っています。
 
胸部X線画像
胸部X線画像

胸部X線画像では早期の病変は
見つけにくい
 
CT画像(冠状断)

CT画像では淡い早期の病変も
指摘でき断面を変えて診断可能

医師異動のお知らせ

 日ごろからご支援、ご指導いただきありがとうございます。医師の異動がありましたのでお知らせいたします。

退職医師 新任医師
8/31 産婦人科 八木 純子 10/1 小児科 助﨑 あきら
9/30 小児科 秦 美能理 小児科 宍戸 将人
小児科 河内 彰人 産婦人科 樋口 尚史
産婦人科 伊集院 崇史 産婦人科 金城 国俊
整形外科 後藤 和海  〃 産婦人科 柴川 未来 
整形外科  阿部 淳     〃 整形外科 塚﨑 祥平 
外科  廣末 剛士     〃 整形外科 手塚 悠太 
放射線診断・IVR科  神谷 実佳    〃 外科 原田 千佳 
もみじイメージ

停電のお知らせ

 高圧受電設備の点検を実施するため、下記日程にて全館停電となります。この停電に伴い、重症患者の受入規制及びカルテ等の参照ができない時間があります。
 【日時】  令和3年11月14日(日) 14:00~17:00
       重症患者の受入規制時間    5:00~18:00(近隣病院様に搬送依頼をしています)
       カルテ・画像等参照不可時間 12:00~18:00 (ふじのくにねっとでの診療情報の開示も参照も
       できません)
 ご迷惑をおかけしますが、ご協力をお願い致します。
                            

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