急に脳の血管がつまることを言います。突然に半身が麻痺したり、言葉がおかしくなったりします。イーと言った時に顔がゆがんだり、両手を挙げたときに片方の手が落ちたり、ろれつが回らなかったり、言葉が出てこなくなったりします。救急車を 要請してください。時間の経過により血管の壁が変化し、細くなりあるとき血管が詰まるのは想像できると思います。通常は高血圧や糖尿病、喫煙など、動脈硬化を起こしやすい素因をもった方に生じます。
動脈硬化の危険因子を持っていなくても心臓の不整脈が原因で起きることがあります。発作性心房細動と言い、自分では気づかずに、数分や数時間の間、脈が不規則になります。日本循環器学会の疫学調査では,有病率は70歳代で男性3.4%,女性1.1%,80歳以上では男性4.4%,女性2.2%です。この不整脈が起きている間に、心臓の中にゆっくりと血栓ができて、それが脳の血管に流れて瞬時につまることがあります。これを心原性脳塞栓症と言います。日本脳卒中協会は3月9日を脈の日として、検脈をよびかけています。
脳梗塞の治療はすみやかに積極的に行うことが原則です。発症して4.5時間以内に治療が行える場合は、造影剤(血管に色がつく)を使用してCTを撮影し、どの血管が閉塞しているかを確認します。禁忌事項がないかを確認した後、血栓を溶かす薬剤を投与します。大きな血管が閉塞している場合は脳外科に依頼し、カテーテルという軟らかい針金のようなものを足の付け根から挿入して血栓をとりのぞく血栓回収療法を行います。それらを行わないほうがよいと判断した場合も血小板や凝固因子(のりのような働きをするもの)の働きを弱めて血液の流れをなるべく維持する抗血栓療法を積極的に行います。また脳保護薬を併用することが多いです。積極的にリハビリテーションも行います。