/ スタッフインタビュー
麻酔科長
手術の安心を支える麻酔科医の責務
麻酔科医の役割は、単に、麻酔薬で患者さんを眠らせたり、痛みを取ったりするだけではなく、手術や麻酔薬によっておきる様々な、呼吸、循環、代謝などの異常な変化に適切な処置を行い、患者さんが安全に手術を受けられるようにすることです。
手術前より、心臓、脳、肺などに持病がある患者さんでは、麻酔や手術中に症状が悪化したり、あるいは手術前の診察や検査では、わからなかったような病気のために、合併症、副作用などが起こったりすることがあります。
麻酔科医は、患者さんの意識がないときも、絶え間なく監視し、手術中の大出血など、生命に関わる様々な危険な状況に対して、適切に診断と治療を行ない、患者さんの安全を確保するように管理しております。
麻酔科医は手術中に患者さんと関わるだけではなく、手術の何日も前から状態を把握し、安全で快適な麻酔を受けることができるよう準備をし、手術後は患者さんのところに伺い痛みへの対応や麻酔からの回復の観察を行っています。
麻酔方法には、全身麻酔や脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔、局所麻酔など様々な方法があり、患者さんにとって最適な麻酔方法を選択しています。
また、全身管理や痛みの管理を得意とするため、手術室以外にも集中治療室(ICU)やペインクリックの現場で働く麻酔科医もいます。
安全な麻酔を行うためには患者さんのお力も必要になってきます。
まず、患者さんの全身状態をきちんと把握することが基本になりますので、今までかかったご病気や現在治療中のご病気、現在飲まれているお薬、アレルギー、ご家族の麻酔に関する情報などに関して主治医の先生に全てお伝えいただければと思います。
その情報をもとに麻酔科医は、手術前に追加で行ったほうがよい検査があれば主治医の先生にお願いすることもあります。
次に、禁煙の徹底をお願いしたいです。
喫煙は手術中や術後の痰の増加、肺炎・心筋梗塞・脳卒中のリスク上昇、傷の治りの遅れなどの多くの危険性があり、喫煙者は非喫煙者より術後の合併症が多くなります。
よって予定の手術では手術前4週間以上前からの禁煙が望まれます。
最近では新型タバコを吸っていらっしゃる方もいらっしゃいますが、新型タバコは健康に害がないという科学的証拠はありませんので、従来のタバコと同様の禁煙が必要です。
また、麻酔について麻酔科医に直接相談したいことがありましたら、ご相談を受けることも可能ですので、その場合には主治医の先生にお声がけください。
安全な手術を成し遂げるためには、外科医、麻酔科医、看護師など手術に関わるスタッフがチームとなり連携することが不可欠だと考えますので、外科医や看護師が普段から気軽に麻酔科医に相談できる体制作りを目指しています。
また合併症のある患者さんにおいては循環器内科、呼吸器内科、内分泌内科など内科系の医師とも連携を図り手術に関わる危険を少しでも回避できるようにしています。
さらに、手術を受ける全ての患者さんは多少なりとも不安や心配を抱えていらっしゃいます。
それは患者さんのみならず患者さんのご家族も同様です。患者さんやご家族に寄り添った医療が提供できるよう丁寧でわかりやすい手術前の麻酔説明や手術室でのお声がけ、術後のきめ細やかな診察を心がけています。