/ 医療の質
がんは、生涯のうちに約2人に1人がかかると推計され死因の第1位です。国民の生命と健康にとってがん対策は重大な問題であり、平成18年に「がん対策基本法」が成立しました。この基本法に基づき、がん対策を総合的かつ計画的に推進するために「がん対策推進基本計画」が策定され5年ごとに見直しされています。
平成24年からの第二次がん対策推進基本計画では
このうち、がんと診断された時からの緩和ケアの推進では、がん患者とその家族が可能な限り質の高い生活を送ることができるよう、診断された時から緩和ケアが提供されるとともに治療や在宅医療など切れ目なく実施される必要があります。
緩和ケアは、身体的苦痛だけでなく精神的心理的苦痛への対応など、患者と家族の心のケアを含めたものでありがん医療に携わる医療者がチームとして提供する体制を整備する必要があります。
当院では、厚生労働省の指針に沿った緩和ケア研修会を毎年開催しており、疼痛の評価方法、副作用対策および鎮痛剤の正しい処方、身体症状や精神症状への対応、在宅緩和ケア、地域連携、コミュニケーションの基礎知識などの研修を修了した医療者が診療にあたっています。
がんだけでなく、生命を脅かす疾患を対象としています。その中でもがんは、日本人の死因で最も多い病気です。現在、日本人で亡くなる方のうち、3人に1人ががんで亡くなっています。がん患者さんは、がん自体の症状のほかに、痛み、倦怠感などのさまざまな身体的な症状や、落ち込み、悲しみなどの精神的な苦痛を経験します。
「緩和ケア」は、がんと診断されたときから行う、身体的・精神的な苦痛をやわらげるためのケアです。
「緩和ケア」=「終末期のケア」と思われている方も多いのが現状ですが、実際には「病期(病期の進行段階)」や「治療の場所」を問わず提供されるもので、特に患者さんの「つらさ」に焦点をあて、心と身体の苦痛をやわらげ、自分らしい生活を送れるようにするケアが「緩和ケア」です。
当院では、がん患者を中心に身心の苦痛の緩和や療養場所の選択などに対して、主治医や看護師と協力して患者さんやご家族の希望に少しでも近づき、いつでもどこでも質の高い緩和ケアが受けられるよう日々努力しています。
緩和ケアチームは、身体面の症状緩和を主に担う緩和薬物療法認定薬剤師とつらさの緩和や生活の質を高めることを担う緩和ケア認定看護師、歯科衛生士、管理栄養士などのメンバーで構成されています。外科の医師や精神面を担当する臨床心理士などとも連携しています。
週1回、カンファレンスを行い、ラウンドに行っています。
外来や入院中に緩和ケアを受けたいと患者さんやご家族が思われたときは、看護師や主治医に声をかけて下さい。症状緩和については、主治医の先生が中心に行いますが、難渋するようなケースは緩和ケアチームに依頼が来ます。2階「看護・緩和ケア相談」でも相談を受けています。
小野田 千晴 (緩和薬物療法認定薬剤師、がん薬物療法認定薬剤師)
痛みやつらい症状に、一人ひとりに適したお薬の紹介をします。お薬について、困っていることや不安に思うことがあれば、いつでもご相談ください。
萩原 一美 (緩和ケア認定看護師)
自分らしく生活ができるようにチームで関わらせていただいています。ご要望があれば担当の訪問看護師と一緒にお宅へうかがい、自宅での療養生活をサポートさせていただくこともできます。
石井 夕紀 (緩和ケア認定看護師)
週に1回チームメンバーと共に、依頼を受けた病棟へ訪問し、患者さん・家族・病棟スタッフとカンファレンスを行い、つらさを和らげる方法を考えたり、退院時のサポートに関わらせていただいています。
鈴木 裕子 (がん性疼痛看護認定看護師)
入院中から外来まで継続して関わらせていただいています。また、在宅の場合は地域連携室や訪問看護師とも連携をとって支援しています。気軽に2階の「看護・緩和ケア相談」に声をかけて下さい。
松尾 紘生 (管理栄養士)
食欲不振といっても吐き気や味覚異常など様々な症状があります。"食べたい”という気持ちを大切に考え、症状に合ったお食事の提案をしていきたいです。
引地 和美 (歯科衛生士)
治療中もお食事や会話が楽しくできるように口腔ケアを担当させていただいております。お口に関することはお気軽にご相談下さい。